近年ではパソコンやスマホの普及で、以前の生活と比べると私たちの生活は激変しています。
スマホやパソコンなどは便利で生活にはなくてはならないものとなっていますが、その反面でデジタル環境がヒトに及ぼす悪影響を知っている人がどこまでいるのでしょうか?
スマホの登場で子供から大人までが暇さえあればスマホを見ているのが現状です。
一概に「デジタル環境が悪い」という事を言いたいわけではなく、使い方を誤ってしまうと身体の不調を起こすという危惧です。
この記事では、デジタル環境が身体に及ぼす悪影響やその対処法をお伝えします。
目次
デジタル環境が身体に及ぼす影響
不眠症
スマホやパソコンなどの使用時間が長いと不眠症になりやすい。
その理由は、画面から発せられるブルーライトと興味の尽きないインターネット環境です。
ブルーライトが目に入ると眠くなるためのメラトニンというホルモンの分泌が少なくなります。
人間の体内時計は一定の周期で動いており、朝起きた後の12~16時間後にメラトニンの合成を始めて寝る準備をします。
夜にブルーライトの光が目から入ると、人間の体はまだ昼間なのかと錯覚を起こしてしまい、メラトニンの合成がうまくできずに眠くならなくなってしまいます。
それだけではなく、眠りの質も妨げます。
テレビやスマホを見ながら寝落ちしてしまった経験は誰でもあると思いますが、この寝落ちは睡眠の質としては最悪です。
寝落ちで「よく眠れた」「疲れがとれた」という人はいないでしょう。
もしいるとしたら、そもそも重度の不眠症で普段寝れない人でしょう。
また、ついスマホやパソコンでネットサーフィンしようものなら何時間でも出来てしまいます。
これはインターネットの機能が私たちの興味がありそうな分野を選択して、関連記事や関連動画として随時リンクを貼ってくれているからです。
人間は知的好奇心が強い生き物です。
そのおかげで生物界の生存競争を生き抜いてきたのですが、現代社会は情報量が過度になりすぎてしまい、つい色々なページをみてしまい「気づけばもうこんな時間」という経験も誰もがあるはずです。
デジタル環境で情報の取得が容易になった事はありがたい事ですが、使用時間に気をつけないと不眠症になるリスクは知っておきましょう。
うつ
スマホを使うよく使う人はうつになりやすいという研究結果があるそうです。
その理由はSNS。
SNSは他人の良い所だけが映ったものです。
人はどうしても他人と比べてしまいます。
その結果、自分に満足が出来なくなり、自信をなくしうつになっていく傾向が強い事が示唆されています。
もちろん全ての人がそうなるというわけではありませんが、注意すべき事です。
SNSの使用を制限するとうつ傾向が減少して、幸福度が上がるという研究結果もあるようです。
その理由としては、インターネットに時間を使わなくなった分、現実世界での人との関わりが増えた事などが挙げられます。
インターネットやSNSを良く使っていると孤独感が増します。
孤独感が人をネガティブな感情の方に引きずりこみ、うつ傾向にしていくリスクがSNSにはあります。
ただ、SNSでの友達に救われたとか他人の投稿に元気や勇気をもらったなどの経験もあるでしょうから、一概には言えません。
ただし、SNSの使用時間は一日のうちに1時間など自分で決めている方が精神的に良いという事実がある事を知っておきましょう。
集中力の低下
スマホの登場で人間の集中力の持続時間がどんどん減ってきているという話は聞いた事がありますか?
インターネット上では次々に興味をひくようなページが紹介されています。
気になるページをクリックして見出しても、そのページの内容よりも次にリンク先を探している経験も誰しもがあるはずです。
私たちはスマホがあるだけで気が散るようになっています。
「重要な連絡が入っていないか。」「新しいニュースがあるんじゃないか。」など手元にスマホがあるだけで注意がスマホにも向いてしまいます。
一時期はマルチタスク(同時に2つ以上の作業を行う事)が重要と言われていましたが、マルチタスクの正体は一つ一つに集中する対象を変えているだけでシングルタスクを高速に行っているだけです。
簡単に言うと、マルチタスクは集中力を一回一回途切れさせて次の作業を行っているという事。
効率が悪そうですね。
これも研究結果が出ており、普段からマルチタスクを好みマルチタスクが得意というグループとそうでないグループとで記憶力のテストをした所、マルチタスク派の成績の方が悪かったという結果が出ています。
この結果は、単にマルチタスクは注意の持続時間が短い事を意味しています。
スマホが手元になると、テレビを見ながらスマホを同時に見る事や勉強の合間合間にメールやLINEの返信をその都度行うなどの事をしてしまいませんか?
これも、マルチタスクです。
集中力が持続できていないのです。
人間の注意持続時間は12秒から8秒に下がってしまい、金魚以下になってしまったという話は聞いた事ありませんか?
その話の真偽は分かりませんが、人間の集中力が以前よりも続かなくなった、集中する事自体が難しくなったという事実は様々な研究から明らかになってきています。
記憶力の低下(知能の低下)
集中力の低下との関連が深いのですが、人間の知能自体も低下する傾向にあります。
集中力が低下しているので記憶力も低下する。
物覚えが悪くなってしまってきているのです。
これは人間が記憶する仕組みとも関係しています。
人間が記憶する時には、脳が情報の重要度を判断したりしながら記憶していくわけですが、脳は怠け者でもあります。
いつでもインターネットで引っ張ってこれる知識は、その情報自体を記憶するよりもどこにその情報があるのかを優先的に記憶します。
子供の時に携帯電話がなかった世代の人なら分かるでしょうが、友達の家の電話番号をいくつも覚えていたと思います。
今はどうでしょう?
携帯電話自体が番号を記憶してくれているので、ほとんど覚えていない人が大半でしょう。
自分で覚えておく必要がないから、よく電話する人の番号も曖昧もしくは全く覚えていないのです。
脳がコレに記憶されていると知っているだけで良いから、記憶しないのです。
このようにデジタルデバイスの登場により、人間が覚えておかなければならない内容も変わってきているのです。
ある程度の大人であれば、記憶の使い方や知識の引き出し方を自分自身で工夫すれば便利で役に立ちますし、その分の空いた容量の分を他の記憶に使うという事も出来ます。
ただ、それは一部の人達であるのも事実。
スマホやパソコンには私たちの関心を引くものがたくさんあります。
調べものをしようと開いたはずが気が付けば不要なものまで見ていたり、記憶が上書きされてもう一回調べ直したりした経験がある人も割と多いはずです。
また、子供の学力にも影響力は大きいようです。
子供は大人と違い、精神的にも未熟であるため自己制御がまだ難しい。
制限なくスマホを使わせてしまえば、ほとんどの子供で勉強の妨げになります。
うまく使えば学習も効率よく出来るツールでもあるのですが、好きに使わせているとほとんどが娯楽のためにしか使わないでしょう。
スマホが身近にあるだけで、集中力もそがれてしまいますので、学習効率は下がります。
子供にスマホを与える時の注意点などはこの記事に書いてありますので参照ください。
☞子供のスマホ。いつから持たせるべきなのか?利用上の注意点は?
身体機能の低下と不良姿勢
スマホやパソコンなどを頻繁に使うと、当たり前ですが運動量が少なくなります。
それに伴って筋力が弱くなったり、姿勢が悪くなったりします。
デスクワークが中心の人では不良姿勢から腰や首の痛みがある人が多いです。
ゲームやスマホの影響から姿勢が悪い子供も多いです。
子供のうちから、首や腰に痛みを抱えている子供も増えてきています。
運動不足はストレスをため込みやすい体質にもなってしまいます。
精神的に弱くなり、心の病気やストレス耐性も弱くなります。
少しの事でも我慢できなくなったり、イライラしてしまう事が増えてしまいます。
ここまで、デジタル環境が私たちに及ぼす影響についてみてきました。
次では、その対処法について考えていきたいと思います。
対処法はデジタルデトックスと運動
デジタルデトックス
デジタルツールを使う事を制限する事です。
これは自分でルールを作って守るというだけです。
無制限だと、どうしても好き放題にゲームをしたり、動画を見たりしてしまいます。
一日のうちで何時間までとか、スマホやパソコンなどを使って良い時間を決めるのです。
そして、しっかりと管理する。
スクリーンタイムを活用すると良いでしょう。
スクリーンタイムには自分がどのようにスマホを使っているかが一目で分かるようになっています。
一日の使用時間やどのジャンルにどれくらい時間を使ったのかが表示されます。
毎週スクリーンタイムを見るだけでも、多少の効果は期待できるでしょう。
痩せたい人が毎日体重計に乗って、自分を管理すると上手くいくのと同じです。
運動をする
運動をする事は健康に良い。
それは数々の研究で明らかになっており、みなさんも周知の事実です。
運動が身体に悪いと思っている人はいないでしょう。
ただ、運動を習慣的に行えている人も少ないはずです。
必要なのは分かっているけど、「時間がない」などの言い訳をしてしまっていませんか?
時間がないと言いながらも、何時間もスマホを使用している人はかなり多いはずです。
スマホを見ている時間を運動する時間に変えるだけで一石二鳥。
30分でも良いので、運動の時間に変えてみましょう。
30分スマホを使用する時間が減り、運動した時間がプラス30分。
デジタルデトックスが30分でき、運動でストレス発散する時間も30分。
これだけで2倍の効果が期待出来ます。
いきなり一時間くらい運動しようとするとハードルが高くなってしまいますので、10分でも良いので、少しずつ運動する習慣を身に着けておくようにしてみましょう。
最後にまとめをして終わります。
まとめ
デジタル環境が及ぼす悪影響は、不眠などの健康面やうつや集中力の低下などの精神面、運動不足による体力面など多岐にわたります。
スマホやパソコンは確かに便利で仕事の効率を良くしてくれたりもする反面、ついつい手に取ってしまい、気を散らしてしまう原因にもなります。
付き合い方が重要で、仕事以外でもつい長時間使用してしまう人は少し使用制限をした方が良いかもしれません。
デジタルデトックスに最大限の効果を発揮するのは「運動をする」こと。
現代人は便利な世の中になりすぎて、意識的に運動をしていないと運動不足に陥ります。
スマホを使用する時間の少しでも運動に変えれると、健康面でプラスに働いてくれます。