腰痛で「椎間板ヘルニア」の診断を受けた人は少なくないでしょう。
腰のヘルニアの痛みの特徴は、「前かがみやくしゃみで痛い。」「ずっと座っていると痛くなってくる。」といった症状が多いです。
ヘルニア自体はすぐに良くなるものじゃないです。
しかし、できるだけ痛みに悩まされずに過ごしたいものです。
腰のヘルニアを解剖学的に考えてみると、うつ伏せが勧められます。
しかし、インターネットなどで調べたりするとうつ伏せは良くない等といった内容もあり、どの情報を信じて良いのか分からなくなります。
この記事では、腰のヘルニアには「何故うつ伏せが勧められるのか」について解説していきます。
うつ伏せが勧められる理由
早速ですが、何故うつ伏せが勧められるのかについて説明していきます。
これを理解するためには腰のヘルニアとはどういった状態なのかを知らなければなりません。
上のイラストは腰の骨にあたる腰椎と椎間板です。
椎間板の方が前側(お腹側)です。
この椎間板の真ん中には髄核というジェル状のものが入っているのですが、椎間板が傷つきジェル状の髄核が後ろに飛び出てしまった状態が椎間板ヘルニアになります。
上半身の重さが前側にかかるような前屈動作や猫背の姿勢が椎間板の負担となるわけです。
椎間板に過度な負担が生じると椎間板が損傷してしまい、その結果ヘルニアとなります。
つまり、身体の前側にかかる負担を減らすと、その分椎間板にかかる負担が減る事になるわけです。
うつ伏せの姿勢は、お腹側が床側になり背中側が上になります。
うつ伏せの姿勢は、床によって上半身はそれよりも前側には動かせなくなるので、椎間板への負担がかかりにくい姿勢と考えられ、勧められるわけです。
ただ、腰のヘルニアといっても腰椎の何番目の椎間板のヘルニアなのかや、人それぞれの身体の柔軟性や関節の硬さなどもあるので、痛みに応じてどの姿勢が良いのかは調節しなければなりません。
あくまでうつ伏せは椎間板に対してかかる負担を減らすという意味で勧められるという事です。
寝る時の姿勢もうつ伏せ?
夜に寝る時の就寝姿勢もうつ伏せが良いのでしょうか?
結論から言うと、寝るときは「一番痛みが少なく楽な姿勢」で寝るようにして下さい。
一番楽な姿勢は横向きで軽く股関節と膝を曲げると腰から骨盤周囲がリラックスでき、楽な人が多いです。
ただ、ヘルニアの人が全員その姿勢が楽かどうかはやってみないと分かりません。
腰のヘルニアとは椎間板の真ん中にある髄核が後ろの方に飛び出して神経に当たってしまう状態なのですが、この飛び出し方は人それぞれです。
さらに椎間板ヘルニアによる痛みの他にも、腰周りの筋肉が硬く張った状態のために筋肉性の痛みが出てしまっていたり、腰骨や骨盤の動きが悪いために起こっている痛みなどが一緒に起こっている事もあるので、楽な姿勢は人それぞれ違います。
また、ヘルニア発症すぐは組織の炎症が強く、どの姿勢でも痛いという時期もあります。
仰向けで膝の下に枕を差し込んで、少しだけ股関節と膝を曲げてあげたり、腰の下にバスタオルなどを当ててあげたりすると楽になる場合もあります。
睡眠は一番心と身体の疲れが取れる行為です。
出来るだけ睡眠時間を長く取れるように一番楽に寝れる姿勢を探してあげる事がヘルニア治療の第一歩です。
椎間板への負担を減らすためには
腰のヘルニアを治すためには、「いかに椎間板にかかる負担を減らすか」がポイントになります。
そして、うつ伏せの姿勢は椎間板への負担がかかりにくい姿勢ともお伝えしました。
腰のヘルニアになってしまう人の特徴として、腰の骨(腰椎)を反らす動きが硬くなっている人が多いです。
腰椎は5個あり、真ん中の腰を頂点にして前に反っている(前弯)構造をしていますが、この前反り構造が、日頃からの姿勢の悪さから、腰椎の前弯が少なくなってしまっている人が多く、椎間板の負担を減らすためには腰を反らす動きの改善が必要です。
痛みのない範囲で以下の運動をしてみて下さい。
・うつ伏せの状態から両肘を支えにして上半身を起こします。
・この時に背骨が弓なりにしなるイメージで行います。
・15~30秒程姿勢を保持したら、ゆっくりうつ伏せに戻ります。
・慣れてきたら支えを両肘から両手に変えると後ろに反らす動きが大きくなります。
ポイントは腰の骨の動きを滑らかにする事なので、腰周りの筋肉に張る感じが出るのであれば少し戻して下さい。
腰の筋肉が緊張してしまうのであれば、腰の骨の動きに無理が生じています。
椎間板の役割は腰骨にかかる体重の分散なので、元々体重を支えるためにある組織です。
どうしても体重などの圧がかかりやすい組織なので、痛めている時は意識的に体重などの圧を椎間板以外に分散してあげる事が重要です。
最後にまとめをしていきましょう。
まとめ
腰のヘルニアでうつ伏せが勧められる理由は、「椎間板への圧がかかりにくい姿勢」だからです。
ただし、うつ伏せ姿勢で痛みが出る場合は無理してうつ伏せになる事は控えましょう。
寝るときの姿勢では横向きに寝ると楽な場合が多いですが、自分が一番楽に取れる姿勢で構いません。
腰のヘルニアになりやすい人の特徴は、腰骨の前反りの構造が少ないのが挙げられます。
腰を反らす動きの改善はヘルニアの治療や今後の再発予防に必要なので、紹介した運動にも取り組んでみて下さい。