寝ても疲れが取れない、十分な時間寝たのにあまり寝た気がしないといったことはないでしょうか。
そのような場合は、「睡眠の質が悪い」と言わざるを得ません。
睡眠が十分な休息になっていないのです。
睡眠の質はどこで決まるのでしょうか?
この記事では、睡眠でしっかり休めるための睡眠の質を決める要素について解説していきます。
睡眠サイクルを理解する
まずは睡眠している時に、私たちの身体には何が起こっているのかを理解する事から始めましょう。
睡眠中はレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があります。
レム睡眠の時は、身体は寝ているが脳は起きている状態で、ノンレム睡眠の時は、身体も脳も寝ている状態になります。
簡単に言うと、レム睡眠は浅く、ノンレム睡眠は深い眠りという事です。
余談ですが、レム睡眠はRapid Eye Movementの略で、レム睡眠中は瞼の下で急速に眼球運動を起こしている事から名前が付けられています。
人が眠りにつくと、まず最初にノンレム睡眠が訪れ、しばらくするとレム睡眠に切り替わります。
レム睡眠の後は再びノンレム睡眠に切り替わって、再度レム睡眠へ。
このようにノンレム睡眠→レム睡眠と切り替わるのを1周期とすると、この1周期の時間は90分~120分となっています。
「眠りは90分周期で考える」と聞いたことがあるかもしれませんが、この考えは睡眠サイクルが1周期90分であるならば、3時間、4時間半、6時間…の90分周期で覚醒するように起床時間を調整したら、目覚めが良くなるという考えのものになります。
そして、この最初のノンレム睡眠の時が一番深い眠りとなり、その後の2回目、3回目となるにつれ、徐々にノンレム睡眠が短くなり、浅い眠りへと変化します。
通常の睡眠で8時間ほど寝た場合は、ノンレム睡眠→レム睡眠を4サイクルすることになり、1サイクルごとに徐々に浅い眠りへと変わることで身体を起こす準備をします。
眠りの質を決めるのは最初のノンレム睡眠
眠りの質を良くするためには、最初の90分が勝負の分かれ道になります。
前述したように、一番深い眠りは眠り始めの90分に訪れます。
この時のノンレム睡眠時に一番多く成長ホルモンやその他のホルモンが分泌され、身体の調子を整えます。
この眠り始めのノンレム睡眠は睡眠のゴールデンタイムとも言われ、最初のノンレム睡眠でいかに深く眠れるかが睡眠の質を左右します。
最初のノンレム睡眠は深いため、この時の人を起こすのは非常に苦労します。
簡単には起きないくらい、脳と身体を休めることに集中している時間帯です。
最初のノンレム睡眠は急速充電時間のようなものです。
動物全てに言える事かもしれませんが、睡眠は身体を休めるのに必要な事ですが、睡眠中は一番無防備になります。
外敵から身を守るためや有事の際に多少無理が出来るように、睡眠初期に集中的に身体を休める働きがあるのかもしれません。
最初のノンレム睡眠が与えるメリット
前述してきたように、眠り始めて最初のノンレム睡眠がきちんとできるだけで短い睡眠時間でも最低限の質は保たれます。
最初のノンレム睡眠がもたらしてくれるメリットは大きく3つあります。
自律神経が整う
自律神経は活動的な交感神経と休息の副交感神経の2つの神経があります。
日中は活動的な交感神経が優位で夜間には休息のための副交感神経の働きが優位になり、一日の生活に合わせて自律神経が呼吸や心拍数、免疫力などを調整してくれます。
睡眠そのものが副交感神経の働きを高める方法です。
明け方まで起きていたり、寝つきが悪く睡眠の質が悪いと、副交感神経の働きが十分に上がりきらず、交感神経と副交感神経のバランスが乱れた状態になります。
ただでさえ現代社会は様々なストレスにより、交感神経が優位な状態に陥って自律神経のバランスが乱れている人が多いです。
寝る時間を固定するや眠くなるように日中に運動で身体を動かすなどをして、戦略的に睡眠の質を上げるようにすれば、自律神経の乱れも解消されていきます。
ホルモンバランスが整う
睡眠中に主に分泌されるのは、成長ホルモンです。
ホルモンの分泌は人間の体内時計と連動しており、成長ホルモンが多く分泌されるのは最初のノンレム睡眠の時で、この時間帯に70~80%分泌されると言われています。
成長ホルモンは子供の成長を促すだけのホルモンではなく、成人した大人でも細胞の成長を促すことで、筋肉や骨を丈夫に保ってくれたり、皮膚や細胞の新陳代謝を促進してくれアンチエイジングとして活躍してくれます。
他の時間帯でも分泌はされるのですが、最初のノンレム睡眠の分泌が圧倒的です。
早寝早起きが推奨されるのも、このホルモンの分泌が多くなる22時頃には眠りについた方が良いからでしょう。
脳が整う
睡眠中は脳の記憶の整理もされます。
睡眠中に記憶を定着させたり、いらない記憶を排除したりとしているわけです。
脳が休む唯一の時間がノンレム睡眠で、そのノンレム睡眠が一番深い時間帯が睡眠最初の90分~120分頃になります。
記憶の整理自体を行うのはレム睡眠中になりますが、脳がしっかりと休んでいないとレム睡眠自体も乱れてしまい、脳もオーバーヒート状態となってしまいます。
ストレスに感じることがあっても、「一晩寝たらスッキリした」という経験がある人も多いと思いますが、これこそ睡眠の効果です。
悩んでいたことに対して記憶の整理をして、考えても仕方ない部分と対策が自分の中で出来上がるのだと思います。
自律神経、ホルモン、脳と別々に挙げましたが、これら全てが連動して動いているのが人間の身体です。
自律神経が乱れれば、ストレス耐性が弱くなって、免疫力が下がったり、ホルモンバランスが乱れたり、抑鬱傾向になったり。
反対に自律神経が整っていれば、多少のストレスも跳ね返せるくらいの精神的余裕があります。
これらを調整しているのは紛れもなく、人間の3大欲求の一つにある睡眠が一番でしょう。
その中でも最初のノンレム吸睡眠の時間帯が一番睡眠の中で大事で、その理由も理解できたかと思います。
まとめ
睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠とがあり、この2つの睡眠を交互に繰り返しています。
睡眠開始時のノンレム睡眠が特に重要で、この時のノンレム睡眠の質がそのまま眠りの質に直結します。
睡眠開始90分くらいが睡眠サイクルの第1周期に当たり、この時間で脳と身体を休める事で、自律神経やホルモンバランス、精神面や記憶の整理などが行われます。
普段忙しくて寝る時間が短い人は、この第1周期をぐっすり眠れるように工夫するだけで短時間でもしっかり休息する事ができます。
少し余談になりますが、睡眠時間が取れないといっても平均6時間は睡眠時間として確保するようにしましょう。