肘外側の痛み原因に「テニス肘」があります。
テニスプレーヤーに多いことからテニス肘と呼ばれるようになりましたが、正式には「上腕骨外側上顆炎」という疾患になります。
このテニス肘、実は意外にも主婦の人にも多いんです。
肘の痛みで調べてみても、テニス肘と出てきて「テニスをしていない自分には関係ない。」と思っていませんか?
今回は主婦にも多発する通称テニス肘について、一般的な治療法の考え方と生活動作で注意したいポイントについて解説していきます。
目次
肘外側の痛みの原因は?
肘の外側の痛みはいわゆる「テニス肘」と呼ばれるものです。
テニスやバドミントンなどのラケット競技をしている人に良く起こることからテニス肘と呼ばれるようになったそうですが、実際本当にテニスをしている人が来るよりかは、普通に生活している人の方が多い気がします。
このテニス肘の痛みの原因はズバリ、手首や肘の筋肉の使い過ぎによるものです。
肘関節筋肉の着く場所が主に内側と外側の2パターンしかなく、内側の方からは指を曲げたり、手首を曲げる筋肉がくっつき、外側の方には指を伸ばす、手首を反らす筋肉がくっついています。
このうち上腕外側上顆炎では、指を伸ばしたり、手首を反らしたりする動作が多くなる事で筋肉がくっついている部分にかかる負担が大きくなり、炎症を起こす事で痛みが出ます。
意外と主婦の発症も多く、フライパンを持って振ったりするなどの動作が辛いという話をよく聞きます。
フライパンもラケットのようにグリップを握って、手首を返して振ったりするのでテニス肘になってしまうようです。
中年以降に発症する人が多くなってしまう理由は、「加齢による筋肉・腱組織の変性」です。
年齢が増すにつれ、どうしても細胞組織の劣化や変性は起こってしまいます。
今まで大丈夫だった動きが知らず知らずに負担となってしまい、ある日突然きっかけもなく痛みが出てしまうという事も珍しくありません。
「テニス肘かな?」と思ったら。
テニス肘が疑わしい場合に行う検査方法がいくつかあるので、簡単なものをご紹介します。
チェアテスト
肘を伸ばして、手のひらを下側に向けた状態にして、椅子の背もたれ部分を持ち上げます。
この動作で痛みが出れば陽性(テニス肘が疑われます)。
中指伸展テスト
肘を伸ばした状態で、手の指をしっかり伸ばします。
特に中指をしっかり伸ばした状態で保持し、中指に抵抗をかけます。
痛みが出たら陽性です。
この2つのテストは簡単にでき、その時の痛みの経過も見やすいため使いやすい確認方法です。
次の項で、テニス肘の一般的な治療法について確認してみましょう。
テニス肘の基本の治療方法
テニス肘の治療の考え方
テニス肘は基本的には保存療法(手術しないで治す)が一般的で、1年以内に80~90%が治癒すると言われています。
半年から一年経っても痛みが治らない場合には手術する選択肢もあるようです。
保存療法では、局所の安静が勧められます。
要は「あんまり動かさないでね。」って事。
あとはアイシングや温熱療法、超音波などの物理療法にステロイド注射やストレッチなどが治療の効果があると言われています。
整形外科を受診すると「テニス肘バンド」というものを処方してもらう事があるかもしれません。
着けてみて痛みが軽減するなどの効果があれば、テニス肘バンドをしている方が早く治ると言われています。
ストレッチ方法
ここからはテニス肘のストレッチ方法を教えます。
①まずは、手のひらを下向きにして指を曲げて拳を作ります。
②その状態から手首を下の方に向けます。
③反対側の手で下から拳を覆うように持ち、手首を下向きに動かし手前に引きつけます。
④そこから肘を伸ばすと、肘の外側につく筋肉のストレッチが出来ます。
⑤次に手のひらを上に向けて、指を伸ばします。
⑥反対側の手で、人差し指から小指までを握り、指を反らす方向に引っ張ります。
⑦その状態から肘をしっかり伸ばしていくと、肘の内側に着く筋肉のストレッチになります。
このストレッチはテニス肘と診断された人に教える一般的なストレッチ方法となります。
テニス肘かな?と思った人は試しにしてみて下さい。
痛みが強い場合には、すぐに痛みが引くことは難しいでしょう。
即効性のある治療法としてはステロイド注射が有効ですが、そもそもの肘に痛みが出てしまった根本原因が治っていません。
テニスなどをしていないのにテニス肘になってしまった人なんかは、日常生活上での動作の仕方に気をつけなければなりません。
普通の生活でそれだけ肘に負担がかかっているという事ですよ。
では、次の項で動作する上でどのような事に注意すれば良いか説明していきます。
生活動作の注意点
テニス肘で気をつけてもらいたい動作方法は、「肘を出来るだけ体側につけて動かす」という事です。
肘を身体につけた状態で可能な動作は極力そうするだけでも、肘の負担は減ります。
あとは「出来るだけ手のひらを上に向ける」という事も大事です。
手のひらを下側に返した状態で手を使うことが一番テニス肘の痛みの原因となっている筋肉の腱を使う事になります。
手のひらを表に向けておくだけで、その筋肉の腱にかかる負担が軽減できます。
最近では、テニス肘は肘周りの筋肉だけでなく、肩甲骨周りの筋肉の硬さとの関係性もあるという事が分かってきました。
特に肩関節の後にある筋肉の硬さと関係性があるようで、肩甲骨の動きを柔軟に保つ事もテニス肘の予防になるという見方もできます。
肩周りの筋肉のストレッチも一緒に行った方が、治りが早くなると思います。
ストレッチの方法は単純に、反対側の後ろまで、手を伸ばすストレッチ(クロスショルダーストレッチ)を行いましょう。
このストレッチの注意点は肩が上に挙がり過ぎない事です。
簡単なストレッチなので、いつでもどこでも出来るのが利点です。
では、最後のテニス肘についてまとめてみましょう。
まとめ
テニス肘は上腕骨外側上顆炎と言われる疾患で、肘の外側につく筋肉の腱に負担がかかり過ぎた結果、痛みが起こります。
治療法は、局所の安静が勧められ、アイシングなどの物理療法やストレッチでの治療になります。
痛みが強い場合は整形外科に相談し、注射してもらうと痛みの緩和に即効性があります。
普段の生活動作での動かし方に注意する事が大事で、注意点は2点。
「肘を体側につける事」と「手のひらを上に向ける事」。
反対に「脇が開いた状態で手を使う」や「手のひらが下を向く」動作が多くなると、筋肉の腱に負担がかかり過ぎて治りが遅くなってしまいます。
日常生活で肘にかかる負担をいかに抑えられるかが早く治すためのポイントになりますよ。
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