圧迫骨折でやってはいけないことと生活動作の注意点
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圧迫骨折は背骨の骨折で、高齢者に多くみられる骨折です。

この圧迫骨折では最初は身動きするのも辛く、特に起き上がりや立ち上がる時の動作で痛みが強くでます。

手や足の骨折であればギプスで固定するイメージがあると思いますが、背骨部分をギプス固定するのは難しいため、しばらくは骨折部分に負担をかけないように生活しなければいけないため、きちんとした管理が必要な骨折です。

この生活動作のきちんとした管理が出来ていないと治るものも治りません。

今回の記事を読む事で、圧迫骨折で「やってはいけない事」とその理由が分かります。

圧迫骨折とは

圧迫骨折とは、脊椎の前方の椎体(椎骨)という部分が潰れる骨折の事を指します。

骨粗しょう症などで骨がもろくなった高齢者に多く発症しやすい骨折ですが、交通事故などの強い外力が加わってしまった場合には若年層も受傷する可能性がある骨折になります。

受傷するきっかけは、尻もちなどの転倒によるものが多いですが、骨粗しょう症により骨がもろくなってしまっている人は、「重たい物を持ちあげた」「中腰姿勢で長い時間作業した」などでも起こります。

高齢者においては、特にきっかけなく腰が痛くなったので受診したら圧迫骨折だったなんて言う人も意外と多いです。

特にきっかけがない人は、骨粗しょう症の影響で骨が脆くなってしまい、自分の体重を支えるだけの骨の強度がなくなってしまったという事になります。

姿勢の影響もあり、円背姿勢は圧迫骨折のリスクの一つと言えるでしょう。

椎体は脊椎の前側にありますので、円背で前かがみ姿勢になるという事は、この椎体部分にかかる圧が大きくなっているという事です。

また、一度圧迫骨折をしてしまった人は別の椎体の圧迫骨折を起こすリスクが高くなります。

圧迫骨折は椎体部分がつぶれる骨折ですが、一度つぶれた椎体は元には戻りません。

つぶれたままの形で骨の強度が戻るというか状態が落ち着く事が骨がくっついたという事になります。

もちろん椎体はつぶれたままですので、骨の形状的には円背姿勢になりやすくなってしまっています。

ただでさえ円背姿勢は圧迫骨折のリスクなのに、さらに円背姿勢となりやすくなるために圧迫骨折を何回も繰り返してしまう人も多いのです。

圧迫骨折を受傷してしまったら何をしてはいけないのでしょうか?

次の項目では圧迫骨折で「やってはいけない事」について説明していきます。

圧迫骨折で「やってはいけない事」

圧迫骨折でやってはいけない事は至ってシンプルです。

前かがみ

「身体が前にかがむ動作」をやってはいけません。

理由は簡単で、前にかがむとつぶれた椎体部分にさらにつぶれる力が発生してしまうからです。

たったのこれだけの事なのですが、前にかがむ動作をしないというのは意外と難しいのです。

少し具体例を出してみましょう。

椅子から立ち上がる動作をしてみて下さい。

立ち上がろうとした瞬間、身体が少し前に倒れませんでしたか?

人は立ち上がる時に、身体を前に倒して重心を前に移動させてから立ち上がります。

また、反対に椅子などに座る動作も身体が少し前かがみになります。

身体を前にかがめずに立ち座りをするのは難しいのです。

しかも若い人ならまだ何とかできそうですが、一番受傷しやすい年代は骨粗しょう症などで骨がもろくなってしまった高齢者です。

脚や体幹の筋力も弱っている事が多いため、前かがみをしないで立ち上がるのは一苦労です。

立ち上がる動作は安静にしていても一日の中で何回かは必ず必要になります。

どんなに安静にしていても、トイレには行きますよね?

トイレに行く時に立ち上がる→便座に座る→便座から立ち上がる→ベッドに戻ってきて座る。

これだけでも4回ほど身体が前にかがむ動作が入っています。

では、圧迫骨折をしてしまうと立ち上がる事すらできないのかというとそういうわけではありません。

何とか工夫して前かがみにならないように立ち上がりましょう。

よく指導する方法としては、身体を直立に保つように意識してもらいながら、座面を両手で押してから立ち上がる方法です。

座面を押す手の位置は自分の身体の横か後ろに手をつくと、身体が前かがみになりにくく立ち上がれます。

身体を捻る

それともう一つやってはいけないのは「身体を捻る」動作です。

身体を捻る動作もつぶれた椎体の部分にストレスが加わってしまうので、極力避けた方が良い動きです。

身体を前かがみにする動作よりは注意しやすく、生活動作の中でも身体を絶対に捻らないと出来ない動作はほとんどありません。

寝がえりをする場面で少し気をつけていれば、身体を捻る動作に関しては大丈夫だと思います。

寝がえりの時は身体を捻らないように両肩の位置と骨盤の位置とが前後にずれないように意識して行ってください。

イメージは「丸太のように」転がりましょう。

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前かがみと捻る動作をいつまで禁止するべきか

ここまでは主に動きについて触れてきました。

最後に、一番注意して欲しい事があります。

それは「前かがみや捻り動作をいつまでしないように注意するか」です。

圧迫骨折を受傷した直後は痛みが強いし、その動作を行ったら痛みが出るので、安静にしてくれますが、徐々に痛みが取れてくると動きが雑になってしまう人がほとんどです。

経験上、個人差はありますが3~4週間も経過するとだいぶ痛みは楽になって動きやすくなる人が多いです。

そうなると前かがみの動作をやってもあまり痛くないので、普通に立ち上がる動作をするようになってきます。

この時期はまだ骨の強度が元に戻っておらず、まだ骨の状態は不安定な時期なんです。

その時期に痛みだけは先に良くなるので、普通の立ち上がり動作に戻してしまうと、骨がまだ不安定な時期にストレスをかける事になってしまいます。

結果的に骨の治りが悪くなったり、最悪の場合は偽関節(ぎかんせつ)といって骨がくっつかない不安定な状態のままになってしまいます。

では、いつまで前かがみに気をつけた生活を送らないといけないのか。

これも個人差が大きいのでハッキリとは申し上げにくいのですが、一つの目安として3カ月くらいを考えておきましょう。

骨の状態に関してはレントゲンやMRIなどの検査が必要になりますので、いつまで気をつけなければいけないかは掛かっているお医者さんに相談した方が良いでしょう。

偽関節になってしまうと手術をしなければならない事もありますので、そうならないためにも安静期間をきちんと過ごしましょう。

それでは最後に今回の内容をまとめていきます。

まとめ

圧迫骨折は背骨の中の前側にある椎体という部分がつぶれてしまう骨折です。

この骨折は骨粗しょう症などで骨がもろくなってしまった高齢者に多く発生します。

つぶれている椎体部分に負担をかけないようにするために、やってはいけない動作は「身体を前かがみにする」と「身体を捻る」動作です。

また、痛みが落ち着いてきても骨の状態が良くなるまでには3カ月くらいかかる事が多いので、痛みが軽減してもしばらくは前かがみ動作の注意は続けなければなりません。

つぶれた骨にストレスをかけ過ぎると最悪の場合「偽関節」という骨がくっつかない状態になり手術が必要になる場合もあります。

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