背中の痛み、特に肩甲骨の間に痛みや張り感は自分では手が届きづらい所でもあるので、不快感があります。
肩甲骨の間の痛みは、頸椎(けいつい)に問題があるか、背中の筋肉に問題がある場合が考えられます。
いずれにしても大元の原因となっているのは姿勢の悪さと言えるでしょう。
肩甲骨の間の痛みを改善するには、頸椎が問題なのか筋肉が問題なのかの痛みの原因を把握し、それぞれに対処する事が必要です。
今回は肩甲骨の間の痛みの原因と対処方法についてお伝えします。
肩甲骨の痛みの原因
肩甲骨の間(内側)の痛みの原因は、頚椎(首の骨)によるものなのか、その部分にある筋肉の問題なのかの2つに分けられます。
頸椎の問題
頸椎の問題であれば、首を動かした時に痛みが出たり、楽になったりするはずです。
首を後ろに反らす動きや、痛みがある側の方向へ横に倒した時に痛みが出るのであれば、頸椎が原因の可能性が高いです。
反対に首を前に倒す、痛みがある側の反対方向に首を倒す動きで痛み出ない、または楽になるようであれば、ますます頸椎が原因となっている可能性が高まります。
筋肉の問題
肩甲骨の間にある筋肉の過労や運動不足によって柔軟性が失われた状態でも痛みが起こります。
菱形筋や僧帽筋、脊柱起立筋などが硬くなっている場合が多いです。
筋肉が硬くなると筋肉内に血液を行きわたらせる血管の動きも悪くなり、筋肉内が阻血状態(血流が滞っている状態)が起こります。
頸椎では首の動きで痛みが出るか出ないかである程度判断出来ますが、筋肉の問題でも首を動かした時に痛みが出る場合があります。
その場合は頸椎の時とは違い、首を前に倒す動きや首を痛みがない方向へ倒すと筋肉が引き伸ばされて症状が出る場合が多いです。
筋肉の問題はその人の動きの癖も関係してきますので、それ以外の動きでも痛み出てしまう事もありますので、動きで痛みを判断するのは参考程度にしておきましょう。
痛みの対処法
痛みの原因が頸椎であれ、筋肉であれ、お風呂などで身体を温めると症状は緩和されやすいです。
身体が温まり血流が改善されると痛みが和らぎます。
痛みが強い時期は炎症症状が強い時期ともいえ、その時は身体を温めてもさほど効果は感じられないかもしれません。
1~2週間経過しても痛みが変わらないのであれば、整形外科などを受診して相談する事をおススメします。
ここからは、各問題に対しての対処法を説明していきます。
頸椎の問題に対して
頸椎の問題では、さきほどのような炎症による痛みの時期をどう過ごすかが大事になってきます。
何らかのストレスがきっかけで頸椎部分に炎症が起きてしまっているため、炎症が治まらない事には痛みが引いてくれません。
頸椎部分に炎症が起きてしまうと、その周囲にある神経も腫れたようになり、過敏状態になっているわけです。
その時期には極力痛みを出さないように工夫して生活してもらう事となります。
主には痛みが出てしまう動き(首を後ろに反らす、横に倒す)をしないように気をつけましょう。
軽く首周りの筋肉をマッサージして血流を良くしておくと治りが早くなります。
肩甲骨の内側の痛みを引きおこす原因となりやすい頸椎は第7頸椎です。
第7頸椎と言われてもどこか分からないでしょう。
第7頸椎は頸椎の一番下になる骨で、首の付け根になります。
頭を前に倒して首の骨を触っていくと、一番盛り上がっている骨が第7頸椎です。
その周辺を優しく揉みほぐしたり、さすったり、軽くつまみ上げたりして筋肉をほぐしましょう。
また、頸椎部分に負担がかかる原因は姿勢の悪さや背骨の動きが悪くなっている場合が多いです。
猫背の姿勢や頭の位置が身体よりも前側にある頭部前方突出位の姿勢だと頸椎部分にかかる負担が大きくなります。
姿勢の悪さが痛みの出るきっかけとなっているのであれば、その姿勢や背骨の動きを改善していかなければなりません。
特に胸椎という背中部分の背骨の動きが悪くなると、その分頸椎が動くようになってしまい、頸椎にかかる負担が大きくなります。
背骨の動きを改善させる方法としては、ストレッチポールを使う事も有効な方法です。
他には四つ這いでのネコのポーズも背骨の柔軟性改善に役立ちます。
ネコのポーズは四つ這いになって行います。
四つ這いになって、両手と両脚を動かさないようにして背中を丸めていきます。
その後ゆっくりと背中を反らすようにします。
「へその位置を下げるように」「お尻を上に突き上げるように」行います。
この背中を丸める→背中を反らす運動を繰り返し行います。
筋肉の問題に対して
筋肉の問題にも姿勢が関係しています。
先ほど挙げた「猫背」や「頭部前方突出位」の不良姿勢の影響で、肩甲骨の内側にある筋肉に負担がかかります。
対処法は硬くなった筋肉のマッサージなどでも良いのですが、効果は一時的です。
何故その筋肉が硬くなってしまったのかという根本的な原因が解決できないからです。
根本的に解決するためには肩甲骨や背骨の動きを引き出す必要があります。
筋肉は動かすと柔軟性が高まります。
不良姿勢で筋肉がうまく動けなくなっているのが問題なんです。
では、どのような運動をして筋肉を動かしましょう?
先ほどのネコのポーズでも背骨から肩甲骨の動きが引き出せます。
背中を丸めた時には肩甲骨を外側に引き出すように意識して、背中を反らす時には肩甲骨を内側に引き寄せるように意識をすると、より効果的に運動が行えます。
また、僧帽筋のエクササイズもご紹介します。
うつ伏せに寝て、腕を挙げるエクササイズです。
腕の位置は3パターン。
①両腕を真横に挙げた位置、②斜め45°に挙げた位置、③肘を軽く曲げ斜め45°下にさげた位置
ちょうど腕の位置が①T字、②Y字、③W字となるようにしましょう。
この3パターンの位置から腕を後ろに引くように挙げると僧帽筋の線維別のトレーニングになります。
僧帽筋はかなり大きな筋肉で、上部・中部・下部の線維に分けられ、それぞれ肩甲骨を違う方向に動かします。
この運動を行う事で、肩甲骨の動きを改善する効果が期待出来ます。
まとめ
肩甲骨の間の痛みの原因は大きく分けて、頸椎が原因なのか、筋肉が原因なのかの2つに分けられます。
原因によっては対処法も変わります。
この原因の違いは首を動かすと痛みが出るかである程度判定する事ができます。
首を後ろに反らすもしくは痛みがある側に横に倒すと痛みが強くなるようであれば頸椎が問題になっている事が多いでしょう。
対処法は刺激となる動作は避けながら、首から肩甲骨周りの筋肉をマッサージしたり、背骨の動きを良くして姿勢に気をつけることなどが有効になります。