脚の筋肉が硬いという人の半分以上は太もも裏のハムストリングスの硬さがあります。
慢性的な腰痛や膝痛に悩む人も、このハムストリングスが硬い場合が多いです。
ハムストリングスは人間の体の筋肉ではかなり大きい筋肉になります。
この筋肉の柔軟性が失われると、ヒトの動きもかなり制限されて各部位にストレスがかかりやすくなります。
この記事ではハムストリングスのストレッチ方法とその注意点についてまとめています。
体を柔らかくして、将来的な障害予防や健康寿命を延ばしましょう。
目次
ハムストリングスとは
ハムストリングスとは太ももの裏側の筋肉です。
ハムストリングスとは総称で内側の半腱様筋、半膜様筋と外側の大腿二頭筋の筋肉で構成されています。
主な筋肉の働きとしては、股関節を後ろに引く(股関節伸展)と膝を曲げる(膝関節屈曲)です。
ハムストリングスの起始と停止(筋肉が付着する所)は、座骨結節というお尻の下の固い部分から始まり(起始)太もも裏側を下降し、膝裏のくぼみを構成するように内側と外側とに分かれ、膝下の脛骨と腓骨という骨に付着します。
ハムストリングスが硬いと何が悪い?
骨盤から股関節を通り、膝関節の下まで筋肉が伸びているため、ハムストリングスは2つの関節の動きに作用する二関節筋です。
ハムストリングスが硬くなると、その分関節の動きが悪くなる箇所が多くなるわけです。
骨盤の動きが悪くなることで、腰痛の原因となったり、膝関節の伸びが悪くなり膝の痛みの原因になる可能性があります。
ハムストリングスが硬い人はかなり多いです。
自分が硬いのかどうかはどう判断したら良いのでしょうか?
次項でハムストリングスが硬いかどうかのセルフチェック方法をお伝えします。
ハムストリングスのセルフチェック
ハムストリングスの硬さは立位体前屈でチェックします。
立位で体を前に倒していき、指が床につくかどうかです。
一般的には、床につかない人はハムストリングスが硬いと判断します。
スポーツ選手の場合は指先がつく程度では不十分で、指全体が床につけられるくらいの柔軟性が欲しいところ。
手のひら全体でベタッとつけられるのなら文句なしです。
それでは、次項でハムストリングスのストレッチ方法をいくつかご紹介していきます。
ハムストリングスのストレッチ方法
ジャックナイフストレッチ
一番おススメの方法になります。
①まず、椅子に腰かけた状態から体を前に倒して、体と太ももをくっつけます。
②両足首を自分の手で把持して、お尻を突き上げるように立ち上がります。
③この時に体と太ももの間にスペースができないようにくっつけたままにしておきます。そのまま思いっきり膝を伸ばすように力を入れた状態をキープします(約10秒)。
④一度椅子に座り休憩。
これを繰り返していくと、どんどんハムストリングスの柔軟性が高まって、立位体前屈で手が床につきやすくなっていきます。
このストレッチのポイントは相反神経支配(そうはんしんけいしはい)という神経の特徴を使っているところです。
筋肉には相反する作用を持った筋肉が必ず存在します。
これがペアを組んでいないと人間の体は動けません。
もし膝を曲げる筋肉しかなかったら、どうなるでしょうか?
自分で元に戻すことができない不便な体になります。
そんな不都合なことが起きないように、反対の作用を持った筋肉があるわけです。
膝を伸ばす筋肉を使うという時には、その伸ばす動きを邪魔しないように膝を曲げる筋肉には脳から「ゆるめ」という指令が出ます。
これが相反神経支配です。
ジャックナイフストレッチでは、立ち上がって膝を思いっきり伸ばす時に、膝を曲げる筋肉のハムストリングスに緩むように脳からの指令が行く特徴を利用しているので、より高いストレッチ効果が期待できるわけです。
このやり方ができるのであれば、この方法を選択しましょう。
ただし、腰痛などがありこの姿勢ができない場合は無理をせず、後述するやり方である程度の柔軟性を高めてからにしましょう。
座位体前屈
座った状態での前屈でもハムストリングスのストレッチができます。
ここでのポイントは何だと思います?
「膝が曲がらない事」ではなく、一番気を付けたいのは「骨盤の傾き」です。
ハムストリングスが硬いと、膝を伸ばして座った長座姿勢をすると骨盤が後ろに傾いてしまいます。
ハムストリングスが付着する所が骨盤の坐骨にあるので、硬いと坐骨の部分から骨盤が膝方向に引っ張られてしまい、骨盤が後ろに傾くわけです。
この状態のままストレッチをしようとしても、上半身部分が曲がってしまいハムストリングスのストレッチとしては不十分なわけです。
しっかり伸ばすためには、骨盤を前に倒すようにして、坐骨部分を引き離すようにした方がストレッチ効果が高くなります。
座ってハムストリングスのストレッチをする場合は、膝は多少曲がってもよいので、骨盤を前に倒すように、または股関節から前に曲げていくイメージで行ってもらうとよいでしょう。
立位前屈
座位前屈を立位で行う場合は、段差を利用します。
ポイントは先ほどの座位前屈と同じで骨盤の傾きです。
一側の足を段差に上げ、踵で接地。
多少膝を曲げて、骨盤または股関節から前に倒していくようにすると、ハムストリングスが効果的にストレッチできます。
臥位下肢伸展
仰向け(あおむけ)で寝た姿勢でハムストリングスのストレッチをする場合は、まず太ももを体に近づけるように股関節を曲げます。
太ももを抱え込むように持って固定し、そのまま膝を思いっきり伸ばします。
ジャックナイフストレッチと同じ相反神経支配を利用します。
10秒くらい膝を伸ばすようにキープして、休憩を繰り返しましょう。
まとめ
ハムストリングスは太もも裏の筋肉で、この筋肉が硬いと腰や膝などの痛みの原因となります。
ストレッチの際の注意点は「骨盤を前に倒す」です。
骨盤が後ろに倒れたままでは十分なストレッチはできないので、骨盤を前に倒すことを一番大切にして行いましょう。
一番おススメのジャックナイフストレッチでは、胸を太ももにつけて行うことで骨盤を前に倒した状態を作り、神経の特徴を利用したストレッチなので効果が高いわけです。