自律神経とは何か?自律神経の役割と仕組みを理解しよう
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自律神経はここ数年でテレビや雑誌、本などで取り上げられる機会が増え、よく聞くようになりました。

自律神経は人間が生きていく上で欠かせない「呼吸」や「血流」、「免疫力」などをコントロールしている神経です。

この自律神経が乱れると身体に様々な不調が引き起こされます。

この記事では自律神経の仕組みや役割について解説していきます。

「自律神経って言葉は聞いた事あるけど、よく分からない」という人は、この記事を読み自分の健康や日々の体調を管理するための参考にして下さい。

自律神経とは

自律神経の役割を一言で表すと、「生命維持機能」です。

人が生きていく上で必要なことを思い返してみましょう。

・呼吸して酸素を取りこみ、二酸化炭素を吐き出す

・心臓から血液を全身に送る事

・食べ物を食べて消化・吸収する

つまり私たちが生きていくために必要な呼吸、内臓、血管を正常に働かせる機能です。

これらの事は人が生きていく上で絶対になくてはならないものです。

逆にこの3つの事の「一つ」でもできなくなると、「生きる」という事ができなくなってしまいます。

これらの働きを自動的に調整してくれているのが自律神経です。

ものすごく重要な働きをしていますね。

この自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の二つからなり、それぞれ「アクセル(活動)」と「ブレーキ(休息)」の役割をしながら活動しています。

自律神経が乱れるという事は、車の「アクセル」もしくは「ブレーキ」に不具合が生じるのと同じことと言えます。

これだけ重要な役割を担っている自律神経が乱れると、身体の様々な不調が出てしまうのが分かりますね。

自律神経がどんな役割をしているのかをみていきましょう。

自律神経の役割

自律神経は主に血管や内臓系など自分の意思とは無関係で働く場所に分布されています。

先ほど、車のアクセルが交感神経でブレーキが副交感神経の役割と例えましたが、交感神経は活動的な場面で働き、副交感神経は休息や安静の場面で働きます。

走ると人は呼吸が速くなり、心臓もバクバクと速くなります。

これは自分の意思とは関係なく誰にでも起こる反応ですが、この時の心拍数や呼吸数などは交感神経が調整してくれています。

走り終えた後は、少しずつ呼吸も落ち着き、心臓の鼓動も元の状態に戻ってくれます。

これは副交感神経の働きによるものです。

人間にはホメオスタシス(恒常性)というものがあります。

このホメオスタシスというのは、外部の環境の変化(気温や気圧など)が起こった時にできるだけ現状を維持するように調節する機能です。

体温を例に挙げると分かりやすいのですが、人の体温はだいたい36℃前後になるように調整されます。

寒いと身体を震わせて体温を上げようとしたり、暑い時は汗をかいて体温を下げようと身体が調整してくれています。

これも自律神経の役割です。

自律神経は身体の血管や内臓など自分の意思では動かせない場所に分布されており、無意識でも身体を一定の状態にコントロールしてくれているのです。

色々な場所で自律神経が働いているので、どんな働きをしてくれているか一覧表をみてみましょう。

 交感神経副交感神経
呼吸増える減る
心拍数増える減る
血圧上がる下がる
瞳孔大きくなる小さくなる
唾液減る増える
胃腸休む働く
消化腺分泌抑制分泌促進
膀胱溜める出す

この表からも交感神経と副交感神経がお互いに調整していることが分かりますね。

どちらかが働き過ぎてしまう、もしくは働きが悪くなると調整がうまくいかなくなり、体調不良を引き起こします。

常にバランスが取れている状態を維持することが重要なんです。

次は交感神経と副交感神経の構造的な特徴をみていきます。

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交感神経はどこにある?

交感神経は背骨の中にあり、胸髄(きょうずい)の1~4番目と胸髄5番目~腰髄(ようずい)2番目の中にあります。

胸髄1~4番目は首の下から肩甲骨の上半分までの高さに位置する背骨です。

ここの場所では交感神経節(こうかんしんけいせつ)という中継地点を通って、目や涙腺、唾液腺、心臓や肺などの上半身にある組織をコントロールしています。

胸髄5番目~腰髄2番目は肩甲骨下半分から腰までの高さに位置する背骨です。

ここからは椎前神経節(ついぜんしんけいせつ)という中継地点を通って、お腹や骨盤の中の臓器(肝臓や腎臓、大腸や膀胱など)をコントロールしています。

交感神経節と椎前神経節という二つの中継地点が出てきましたが、この二つの中継地点はお互いに連絡し合っています。

この中継地点が連絡を取り合っているため、どちらかの神経節が過剰に働くともう一方の働きもつられて働き過ぎの状態になりやすく、結果的に全身に影響を及ぼしてしまいます。

自律神経失調症で全身的に不調が出てしまうのは、このような神経の構造的な特徴によるものとされています。

副交感神経はどこにある?

副交感神経は脳の中の脳幹(のうかん)という場所と骨盤にある仙骨の仙髄(せんずい)という場所にあります。

余談ですが、先ほどから胸髄や仙髄という言葉が出てきていますが、髄は脊髄(せきずい)という意味で、その部位の神経という意味になります。

仙骨は骨の名称で仙髄であれば「仙骨の中を通っている神経」という意味です。

脳幹からは脳神経である迷走(めいそう)神経や動眼神経、顔面神経、舌咽(ぜついん)神経が出ており、特に迷走神経が約75%もの副交感神経を支配しています

頭からお腹周りにある臓器(目や心臓、胃や肝臓など)を脳幹が調節しており、仙髄では骨盤の中の臓器(腸や膀胱など)が調節されています。

また、副交感神経では交感神経のように神経節という中継地点はありません。

交感神経は中継地点があり、中継地点同士が連絡を取っているため、刺激が加わるとすぐに全身に影響を及ぼすのに対して、副交感神経は中継地点とその連絡網がないためにゆっくりと働きが高まっていく性質があります。

この構造的な違いが、交感神経が過剰に働き過ぎてバランスを乱すことが多いことに繋がります。

何故バランスが乱れるのか?

自律神経のバランスを乱す原因は「ストレス」です。

現代社会は様々なストレスがかかってしまいます。

「不規則な生活」「暴飲暴食」「人間関係のストレス」「スマホやパソコン」など交感神経が刺激される場面が多く、うまく休めなくなっている人が多いです。

交感神経が刺激されると神経節同士が連絡を取り合っており、全身的にすぐに活動できるように備えます。

しかし、日常的にストレスがかかりすぎてしまうと交感神経だけが高まり過ぎて、うまく休めなくなります。

心配事や仕事でのストレスで眠れなくなることないですか?

これは交感神経が高まり過ぎて、副交感神経を高める事ができないために起こります。

副交感神経はゆっくりと高まっていく性質でしたね。

寝る直前までバリバリ仕事をして、「よし寝るぞ!」とベッドに入ってすぐに寝れる人はそうそういないと思います。

副交感神経はゆっくり高まっていく性質なので、夕方以降は食事を楽しみ、風呂にゆっくりつかって疲れをとり、リラックスして寝る準備をしていくようにしましょう。

と言葉にするのは簡単ですが、ライフスタイルは人それぞれ。

「仕事が忙しく帰りが遅い人」や「家事・育児で毎日バタバタ」など、とてもゆっくりとはしていられないというのが現状だと思います。

そんな人たちも「少しゆっくり動く」「呼吸を整える」ことを意識してみて下さい。

ゆっくり休めず自律神経が乱れて、結果的に身体の不調が生じてパフォーマンスが下がる、寝込んでしまうなんて事になるくらいなら、余裕がなくても焦らず、呼吸を整えながら動くことで、副交感神経の働きを下げることが防げます。

副交感神経が高まっている状態を維持できると睡眠の質も上がりますので、翌日には心も身体もしっかり休めてリフレッシュできます。

それでは、最後に自律神経を理解する上でのポイントをおさらいしましょう。

自律神経を理解するポイント~まとめ~

今回は自律神経の役割と構造的な特徴についてお伝えしました。

自律神経は「生命維持機能」で私たちが生きていくために必要な機能の調整をしてくれます。

交感神経が「活動」で副交感神経が「安静」をもたらす神経で、どちらか一方が働きすぎるとバランスが崩れてしまい、全身に様々な不調が出てきてしまいます。

特に現代社会では様々なストレス要因があり、交感神経が過剰に働きやすい環境にあります。

副交感神経をいかに高めるかがバランスを取る鍵となります。

副交感神経を高めておくコツは「少しゆっくり動く」「呼吸を整える」が簡単で有効な手段になります。

自律神経のバランスはシーソーのような関係のように、どちらかが上がったらもう一方が下がるという状態でなく、天秤のようにどちらも高い状態で釣り合っていることが重要です。但し、どちらも低い状態で釣り合っていてもダメですよ。

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