歩いていると脚腰が痛くなったりしびれてくる症状はありますか?
歩行時に脚の痛みやしびれが出て、座って休むと症状が治まる場合は「脊柱管狭窄症」かもしれません。
中年以降、特に高齢者は脊柱管狭窄症の診断を受けることが多く、あなたも以前に整形外科で診断されているかもしれません。
脊柱管狭窄症が原因と思っていた痛みやしびれが、実は違う原因があったのでは、いくら脊柱管狭窄症に効く体操やストレッチをしてもあまり意味がない事になってしまいます。
この記事を読む事で脊柱管狭窄症の症状を理解し、脊柱管狭窄症の診断サポートツールの質問項目を見ていく事で、自分の症状が本当に脊柱管狭窄症によるものなのかを確認してみましょう。
脊柱管狭窄症の症状
脊柱管狭窄は加齢に伴い、脊髄神経が通っている脊柱管という神経の通り道が狭くなり、神経を圧迫してしまう事で痛みや痺れの症状が出る疾患です。
脊柱管狭窄症の特徴的な症状は「歩くと痛みや痺れが出現し、座って休むと症状が治まる」という間欠性跛行(かんけつせいはこう)です。
病院を受診して脊柱管狭窄症の診断は受けたけど、この症状が当てはまらない人いませんか??
実はこういう人って結構多いと思います。
これには脊柱管狭窄症という診断がどのようにされているのかを知っておかなければなりません。
お医者さんが診察をする時には問診などで症状を聴く事とレントゲンやMRIなどの画像所見から診断名をつけます。
この画像所見で脊柱管が狭くなっている所があれば「脊柱管狭窄症」になるわけです。
脊柱管が狭窄していれば脊柱管狭窄症なのですが、狭窄の程度って人それぞれ違いますよね?
みんなが同じような程度で脊柱管が狭窄している事ってないじゃないですか?
脊柱管が狭窄しているからと言って、全員が脊柱管が狭窄しているために痛みや痺れなどの症状が出ているわけではないという事です。
ココかなり重要なポイントです。
患者さんの話を聞いていると、この診断名が痛みの原因と思いこんでいる人はかなりいます。
専門的な知識がないので難しいし仕方ない事かもしれませんが、知っておいてほしい事「脊柱管が狭窄している事が全ての症状を出しているわけではない」という事です。
お医者さんがつけた診断名はあくまでその人の状態を表しているもので、すべてが痛みや痺れの原因ではないという事を頭に入れて、次の話に進みましょう。
脊柱管狭窄症診断サポートツール
腰部脊柱管狭窄症の診断サポートツールという物があります。
このツールのうちの患者さんが自分で記入する物の質問項目をみてみましょう。
1.しびれや痛みはしばらく歩くと強くなり、休むと楽にな…5点
2.しばらく立っているだけで太ももからふくらはぎ、すねにかけてしびれたり痛くなる…5点
3.年齢(60歳以上)…4点
4.両足の裏側にしびれがある…3点
5.お尻のまわりにしびれが出る…3点
6.しびれや痛みはあしの両側(左右)にある…2点
7.前かがみになると、しびれや痛みは楽になる…1点
8.しびれはあるが痛みはない…1点
9.しびれや痛みで、腰を曲げるのがつらい…-1点
10.しびれや痛みで、靴下をはくのがつらい…-1点
この10個の質問に答えて、合計得点が13点以上あれば腰部脊柱管狭窄症の可能性が高いと判定されます。
注意点はこれが13点以上だからといって脊柱管狭窄症という診断が下されるわけではありません。
あくまで可能性が高いという事。
しかし、これらの質問のプラス得点が脊柱管狭窄症の特徴的な症状という事は言えるでしょう。
反対にあまり当てはまらないのであれば、痛みやしびれの症状の原因は脊柱管狭窄症だけによるものではない可能性が高いとも言えますね。
質問項目を見てもらうと分かる通り、「歩いたり、立っていると足の痛みや痺れが出現して、休むと症状が軽減する」という1と2の質問項目だけで10点分あります。
これに60歳以上という3の質問項目を加えるだけで13点以上となりますので、腰部脊柱管狭窄症の症状の特徴は、先に挙げた間欠性跛行といっても良いでしょう。
そして、この間欠性跛行があるかないかでリハビリやストレッチの内容が変わってしまいますので、ここはキチンと理解しておきましょう。
それでは腰部脊柱管狭窄症のリハビリや体操を行う上で、どんな事が必要か考えてみましょう。
脊柱管狭窄症のリハビリ
歩いたり立ったりすると痛みやしびれが出て、座ると痛みやしびれが和らぐのが特徴なので、この2つの姿勢の違いをみてみましょう。
この違いは、骨盤から腰椎にかけての骨の位置関係が「曲がっているのか伸びているのか」になります。
サポートツールの9と10の質問項目をみて下さい。
ここの得点はマイナスになっています。
「腰を曲げる」と「靴下をはく」動作。
どちらも前かがみの姿勢になり、身体は曲がっていますよね?
脊柱管狭窄症は腰が曲がると症状が軽減するのも特徴なんです。
腰を曲げて痛みが出るようであれば、その他の原因があると考えましょう。
腰を伸ばす(反らす)動きは人間の構造上、脊柱管は狭くなるように出来ています。
そこに加齢による組織の変性でさらに脊柱管が狭くなってしまうと、立ったり歩いたりする姿勢で神経が圧迫され、症状が出てしまうというわけです。
そこまで理解できたのであれば、リハビリや体操の考え方は「腰を曲げる柔軟性を獲得する事が必要」という事が分かってきますね。
特に股関節の動きが重要です。
股関節が十分に動くのであれば、その上にある骨盤や腰椎の動きは少なくて済みます。
それでは、股関節のストレッチをしましょう。
まずは股関節を曲げる(腰からお尻にかけてのストレッチ)から行います。
横向きに寝て、軽く股関節と膝を曲げておきます。
次に上側にある足を両手で膝下から抱えるように曲げましょう。
太ももが胸につきますか?
太ももが胸につくのであれば、曲げる柔軟性は十分にあります。
胸にふとももがつかないのであれば、何度も繰り返し運動して、胸に太ももがつく事を目標にストレッチしましょう。
次は股関節を後ろに引く(太ももの前側の筋肉のストレッチ)を行います。
姿勢は横向きのままで先ほどよりも深く股関節と膝を曲げた状態にします。
下側の方の手で下側にある脚の膝を抑えておきます
上側の足首を持ち、真っすぐ後ろに引きます。
注意点は下側の脚をしっかりと抑えておく事。
ここの抑えがしっかりしていないと脚を後ろに引いた時に腰が反らされてしまい、痛みが出現してしまう恐れがあります。
この2つのストレッチで股関節の柔軟性を高めておくだけでも、腰にかかる負担は軽減できますので、是非やってみて下さい。
それでは最後に今回の内容をまとめていきましょう。
まとめ
脊柱管狭窄症は「歩いたり立ったりしていると、両脚に痛みやしびれが出現する」間欠性跛行が特徴の疾患です。
脊柱管狭窄症はMRIなどの画像検査で診断がつく事がありますが、症状の出方にも注目する必要があります。
何が脊柱管狭窄症による症状で、それ以外が原因で別の症状があるかなど
完全に線引きする事は難しいのですが、少なくとも立つ姿勢で体が反らされると痛みや痺れが出て、座ったり前かがみの姿勢になると症状がやわらぐという特徴のある出方には留意した方が良いでしょう。