膝の痛みで一番多いのが内側の痛みです。
内側が痛いといっても、加齢変化による「変形性膝関節症」やスポーツ障害で多い「半月板損傷」や「靭帯損傷」など原因は人それぞれです。
痛みの原因によって対処法も変わってくるので、痛みの原因がなんなのか判別する事は重要です。
この記事を読む事で、膝の内側の痛みの原因と特徴が理解できるようになります。
変形性膝関節症
加齢変化で起き、中高年の膝の内側の痛みの原因としてよくみられる疾患です。
膝関節は体重を支えるため、年齢とともに徐々に軟骨が擦り減り、関節面にかかる負担が増えた結果、骨が変形していきます。
特に膝の内側に変形がみられる事が多く、膝の内側の痛みの代表的な疾患になります。
膝関節の変形が進行すると、可動域制限が出てきて、膝が伸びない、曲がらないといった症状がでます。
脚に荷重がかかると痛みが出る、長く歩くと痛みが強くなってくるなどが特徴的な痛みになりますが、本当に変形が原因なのかは特定が難しいです。
その理由は、後述する半月板損傷や膝の不安定性などがあることで、徐々に変形していくため、変形性関節症の時点で他の問題があるからです。
また、骨の変形が起こるのは自己防衛のためであるとも言われています。
変形が起こる所は過度にストレスが加わっている所ですが、そのストレスに対処するために関節面を広げようと骨を作るのが変形性関節症なんです。
既存の関節面ではストレスに対処しきれないので、もっと受け皿を広くしようとしたり、関節のぐらつきを制御しようと骨を形成するわけです。
重度の変形性関節症があっても関節が安定しているため痛みがないという人もいるくらいです。
骨が変形しているからといって必ず痛みがあるわけではないのは知っておいた方が良いでしょう。
(内側)半月板損傷
半月板とは膝のクッション材にあたるもので、内側と外側の半月板とで膝関節の適合性を高める役割があります。
この半月板損傷は中高年だけではなく、スポーツをしている若者でも起こります。
特に内側の半月板の方が損傷が起こりやすいので、内側の膝が痛い原因となりやすい疾患になります。
痛みは立ち上がりや歩行など膝に体重が乗った時に痛みが出るのですが、特に階段など段差昇降の場面で痛みが強く出やすいです。
半月板は膝の捻りのストレスに弱い特徴があります。
膝は曲がる、伸びるの一方向しか動きがないのですが、股関節や足関節の動きの癖によって膝に過度の捻りが加わる事があります。
日常生活では階段などの段差昇降動作が立ち上がり動作など膝の曲げ伸ばしが大きい動作が多いと痛みが出やすくなります。
半月板は自己修復がほとんどできない組織になるので、一度損傷すると構造上は壊れたままです。
半月板が損傷していても、炎症が治まると痛みは軽減、消失しますが、関節の不安定性は出てしまうので、うまく付き合っていかなければなりません。
半月板損傷のリハビリでは、股関節や足関節の動きの癖を直して膝に捻りのストレスがかかりにくくする事になります。
内側側副靭帯損傷
膝関節には前後左右にそれぞれ靭帯があり、膝関節を安定させています。
その中の内側にある靭帯が内側側副靭帯であり、その靭帯が損傷した場合、膝の内側に痛みを感じます。
内側側副靭帯は幅も広くしっかりとした強靭な靭帯なので、強い外力が加わるような怪我や事故で痛める事になります。
また、内側の半月板とくっついているため、半月板損傷があり、膝が不安定な状態が続くと徐々にこの靭帯が緩みやすくなってしまいます。
内側側副靭帯が原因で痛みが出ている場合は、膝から下の下腿から足の部分を外側にひっぱる外反ストレステストで痛みが誘発されます。
靭帯損傷は痛みが強い時期は安静で極力無理をしないように過ごし、痛みが徐々に引いてきたら太もも周囲の筋力トレーニングやバランストレーニングで膝関節周囲の安定性を高めるようにしていきます。
鵞足炎
鵞足(がそく)とは膝の内側の3つの筋肉(薄筋、縫工筋、半腱様筋)が構成する腱の集合体です。
膝の内側のやや下側に付着しており、その部分に痛みを訴える場合は鵞足炎が疑われます。
膝の内側にかかるストレスを制動する役目があり、その負担が大きくなってしまうと発症します。
ランニング障害として起こりやすいのですが、それ以外の日常生活での何気ない動き(立ち上がりや階段)が負担となって起こることも多いです。
3つの筋の中でも薄筋の炎症が一番発生頻度が高く、膝関節内側のやや上部分にある少し硬い腱の部分を押して痛い場合は鵞足炎の可能性が高いです。
フロントランジ(一方の脚を前に出し、前方へ体重を乗せながら膝を曲げていく動作)で、膝が内側を向きながら曲がる癖(Knee in)がある人は鵞足炎が起こりやすいです。
Knee inを修正する事が鵞足炎の治療法になります。
Knee inの修正は股関節の開きの可動性が十分にあるかと、その動きを制御するお尻の筋肉がしっかり働ける状態にします。
まとめ
膝の内側の痛みの原因となる代表的な疾患を紹介しました。
痛みの原因が違えば、治療法もリハビリの内容も変わってきます。
膝の痛みが出た要因が分からなければ、それは普段の動きの癖によって出ている事がほとんどです。
自分だけではその癖を見つけることが難しい場合もあるので、何が原因なのかわからない時は理学療法士さんがいる病院をみつけて相談してみるのも良いかもしれません。