GI値や低GI食品って聞いたことありますか?
最近GI値は、ダイエットや健康分野で注目され耳にする機会が増えてきています。
単純に糖質量を気にするよりもGI値の方を気にした方が良いと言われる事も増えています。
ですがGI値は単純に数値だけを見て、良し悪しを判断しない方が良いのです。
この記事ではGI値とは何か、GI値の正しい見かたと注意点についてお伝えします。
GI値とは
まずはGI値とはどんなものなのかについて知る必要があります。
GIとはグリセミックインデックスの略です。
このGI値で表される意味は「食品が血糖値に与える影響」です。
ちなみにこちらは厚労省が発表しているGI値の一覧表です。
→20150325_GIlist.pdf (deepimpact.vc)
食品が血糖値に与える影響を見る指数となると、GI値が高い物は血糖値が上がりやすく、GI値が低い物は血糖値が上がりにくい食品という事です。
血糖値が上がりにくい食品の方が健康にも良く、体重が増える影響も少ないです。
積極的にGI値が低いものを食べた方が良いという事になりそうですが、その考えはちょっと待って下さい。
このGI値の算出方法を知っておかないと、思わぬ落とし穴にひっかかります。
GI値の正しい見かた
このGI値って、「炭水化物を50g摂取した時の値」で示されています。
白米であれば84、うどんであれば80と高値です。
人参も80ですし、厚労省の一覧表には載っていませんが、すいかも72と高値なんです。
では、これらの白米、うどん、人参、すいか全ての食品が同じように血糖値を上げるのかという事を考えないといけません。
結論から先に言うと、「同じように血糖値は上がりません!」
何故なら「炭水化物50g摂取した時の値」だからです。
白米やうどんで50gの炭水化物を摂ろうと思ったら簡単で、50gより少し多めの量を食べるだけで済みますが、人参やすいかでは炭水化物の量は少なく、その分食物繊維や水分量の方が多いわけです。
人参やすいかで50gの炭水化物を摂るためにはものすごい量を食べないといけないのです。
すいかはほとんどが水分なので50g炭水化物を摂ろうと思ったら1kg、人参も食物繊維が豊富なので、人参で50gの炭水化物を摂ろうと思ったら500g必要です。
GI値だけで見ると同じような数値ですが、今回の例では白米・うどん約50gとすいか1kg、人参500gが比べられているわけです。
白米約50g程度であれば、すぐに食べ終わりますが、すいか1kg、人参500gって食べるのも大変じゃないですか(笑)。
何が言いたいかと言うと、単純にGI値だけ見て判断してもダメだという事です。
GI値を否定しているわけではないですよ。
血糖値に影響があるかどうかの参考にはなりますが、参考にするのなら同じカテゴリー(穀物類、果物類、野菜類)で比較する事。
そういう使い方ならとても参考になると思います。
GI値はきちんと意味を知って使わないと、今回の例では人参やすいかも避けましょうという結果になってしまいます。
それではGI値の意味と見かたが分かった所で、あたかも健康に良さげに表記されている、低GI食品について触れていきます。
低GI食品の意味
低GI食品はGI値が55%以下のものを指します。
先ほど説明したように、GI値は血糖値の上昇率を表しています。
GI値の基準はブドウ糖(グルコース)で、ブドウ糖を摂取した後の上昇率を100としています。
低GI食品とはGI値が55%以下のものになりますので、ブドウ糖を摂取した後の血糖値と比べると上昇率は半分くらいのものという事になります。
血糖値の上昇が高いと、血糖値を下げるためにインスリンが大量に分泌されたり、その後に血糖値の急激な下降が起こりやすくなったりと、身体の内部に及ぼす影響が大きくなります。
血糖値の急上昇や急下降は自律神経の乱れに繋がったり、血液の中の糖質量が多い状態が続くと、血管の内側が傷つきやすく、血管系のトラブルを招く恐れもあります。
このことから、食後の血糖値は低い方がよいとされていますので、低GI食品が勧められているわけです。
低GI食品の落とし穴
さて、ここまでの説明を聞くと低GI食品が良い事は明らかですが、一つ気をつけたい事があります。
それは「加工」されているかどうかです。
GI値を見る時には、自然な形のままで算出された物は参考になりますが、加工された食品ではあまり参考になりません。
自然なままの状態であれば、栄養素のバランスが良い状態ですが、加工食品となると本来持っている栄養素のバランスが崩されています。
例えば100%ジュース。
一杯のオレンジジュースを作るのに必要なのはオレンジ4~5個です。
オレンジジュースであれば数秒で飲み終わりますが、オレンジ4、5個を一度に食べるのは大変です。
意外な事に100%ジュースのGI値は42と分類上は低GI食品になりますが、ジュースという形に加工された時点でオレンジから取れる栄養バランスが崩れています。
糖質の多い果汁部分がだけが取り出されて、食物繊維の部分が取り除かれています。
食物繊維は体内への糖の吸収を抑える働きがあります。
食物繊維を取り除いた時点で体内への糖の吸収効率が上がります。
では、何故ジュースはGI値がそんなに高くないのかという疑問が出てきます。
それは果糖(フルクトース)だからです。
果物に含まれる糖質はフルクトースといい、フルクトースは血糖値を上げない性質があります。
糖質の多い果物もGI値が低いのは、果物の甘味の主成分がフルクトースだからです。
フルクトースは血糖値を上げないので一見良さそうですが、実際の所はフルクトースの取り過ぎは良くありません。
果物本来のままであれば、食物繊維がフルクトースの吸収を抑えますし、フルクトースの量も少ないですが、ジュース一杯には4~5個分のフルクトースが凝縮されています。
食物繊維もなく、何倍ものフルクトースを一度に摂取する形になるので、健康に良いわけがありません。
ほとんどの細胞で使う事の出来るグルコースと違って、フルクトースは肝臓でしか代謝できません。
フルクトースを大量に摂取すると血糖値は上がりませんが、肝臓に溜まってしまう事で脂肪肝になるリスクが上がります。
肝臓に脂肪が貯まれば、肝臓の働きも悪くなってしまいます。
少し難しい話になりましたが、要するに果糖(フルクトース)は血糖値を上げませんが(低GI食品)、身体に悪いという事です。
加工される事で摂取する栄養素のバランスが崩れたら良くない事が理解できたでしょうか。
そして、今言ったことが様々な加工食品に当てはまります。
それはよく使われる甘味料である「果糖ブドウ糖液」です。
ラベル表示を見てもらうと分かると思いますが、ほとんどの商品にこの果糖ブドウ糖液は使用されています。
果糖ブドウ糖液はフルクトース55%グルコース45%で作られているため、通常のブドウ糖と比べると血糖値への影響は半分程度です。
しかし、先ほど説明したようにフルクトースは血糖値を上げませんので、低GI食品に分類されることがあります。
これが低GI食品の落とし穴です。
この落とし穴を回避するためには加工された食品は極力避けるようにし、食べ物は自然に近いものを選ぶようにしましょう。
それでは最後にまとめをして終わります。
まとめ
GI値とは、食品が血糖値に与える影響を数値化したものです。
血糖値の上昇率はその後のインスリンの分泌量に関わってくるため、糖尿病予防やダイエットなどをする場合に参考になります。
ただし、GI値の見かたをキチンと知っておく事が大事で、数値だけみて低GI食品だけを選ばないようにしましょう。
第一のポイントは、「同じカテゴリー内の数値を参考にする」です。
GI値は炭水化物50gを摂取した時の値です。
カテゴリーが違うと、炭水化物50gを摂取した時の総量に違いが大きく出てしまいます。
GI値を比べるのであれば、野菜は野菜の中だけなど同じカテゴリー内で比較しましょう。
もう一つは「加工食品の数値は当てにしない」です。
加工食品には甘味料の果糖ブドウ糖液がよく使われています。
これにはフルクトースが入っているため、血糖値の上昇は抑えられますが、肝臓に溜まり脂肪肝を引き起こす原因になってしまう恐れがあります。
以上の事に注意しながらGI値を参考にするようにしましょう。