運動不足は自律神経にも影響を及ぼし、自律神経が乱れるきっかけにもなります。
運動不足の解消は自律神経を整えるための手段の一つになります。
ただ闇雲に運動を始めても、運動の種類によっては交感神経を刺激しすぎてしまいますし、久しぶりに運動を始めた事でどこか痛めてしまう場合もあるでしょう。
自律神経を整える事が目的であれば、運動種目の選び方と運動する時のポイントがあります。
一番簡単に導入できるのは『ウォーキング」です。
誤った運動を始めてしまわないように『自律神経を整えるための運動』についてまとめました。
目次
副交感神経を整えるための運動を選ぶ!
自律神経を整えるための運動は何が良いのでしょうか?
これを考えるうえで、押さえておきたいポイントは「自律神経の乱れ方」です。
自律神経が乱れるということは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れたという事です。
どのようにバランスを乱したかによって、運動の種類が変わってきます。
人は年齢を重ねていくにつれて、男性では30歳以降から女性では40歳以降から副交感神経の働きが弱くなっていく傾向にあるそうです。
また、現代社会はスマホやパソコンを使う頻度がかなり高いため、ブルーライトにより交感神経が常に刺激されている状態にあります。
これらのことから、現代人は交感神経が過剰に働きすぎている場合が多い傾向にあります。
運動方法を選ぶ上で、まず気をつけるべきポイントは「副交感神経が高まるための運動」を選ぶ事と言えるでしょう。
では、どのような運動を選べばいいのかいくつかご紹介いたします。
自律神経が整うリズム運動
交感神経が高まり過ぎるため、激しい運動は避けましょう。
副交感神経を高めるための運動はゆっくりと一定のリズムでできる運動が良いです。
一番始めやすいのはウォーキングです。
30分くらいを目安に歩くようにしましょう。
その他の運動としてはプールで歩く事やヨガ、ストレッチ、少し負荷が強いかもしれませんがエアロビクスなども良いでしょう。
これらの運動に共通する事は、「呼吸を整えながらできる」です。
呼吸が乱れてしまう運動は交感神経が過剰に働いてしまい、副交感神経とのバランスが取れません。
運動不足解消には最初からジョギングなどを選ぶ人も多いと思いますが、自律神経を整える事が目的の場合は負担がかかり過ぎになる場合があるので、まずはウォーキングから始めると良いでしょう。
次からは誰でも始めやすい「ウォーキング」について詳しくみていきます。
ウォーキングの正しいやり方
ただ歩くだけであっても自律神経を整えるためにはいくつか注意して欲しいポイントがあります。
自律神経を整えるための正しいウォーキングの仕方を学びましょう。
ⅰ)ウォーキングに適した時間帯は?
朝からと夕方からとではどちらの方が良いのでしょうか?
ポイントは副交感神経を高めたいでしたね!?
副交感神経を高めたいのであれば夕方以降のウォーキングをオススメします。
理由は簡単。
夕方以降の方が時間に余裕があり、ゆっくりとした気持ちで歩けるからです。
朝の時間って何かと忙しく、バタバタしてしまいませんか?
忙しい朝の時間帯にウォーキングを始めてしまうと、余計に時間に追われてしまい、焦りが出てしまいます。
この焦りやバタバタする事が交感神経を刺激してしまいます。
また、起床後すぐは交感神経が徐々に高まっていくため自律神経のバランスが一時的に不安定な状態になるので、朝のウォーキングはオススメできません。
夕方以降に歩くメリットがもう一つ。
その日のストレス発散になる事です。
身体がストレスを感じると無意識に筋肉にも緊張が出てきます。
この筋肉の緊張は適度な有酸素運動を行うことで解消できます。
少し難しい話をすると、ストレスを感じると「コルチゾール」という物質が出てきます。
このコルチゾールって身体を動かす準備をする役割があるんです。
動物が生命の危機に陥るほどのストレスを受けても、動けなかったら逃げられないじゃないですか?
ストレスを感じると『闘争・逃走反応』と呼ばれる反応が起こり、闘ったり逃げたりできるように動く準備を身体はしてくれるようにできています。
生命の危機を感じるほどのストレスはなくとも、人間関係や勉強、仕事などの精神的なストレスを感じても同じ反応が起こります。
こういった身体の反応に従うよう、ストレス解消のためには「身体を動かす」ことがいいんです。
コルチゾールで身体を動かす準備はしたけれど、身体を使わずにいるとストレスが蓄積されてしまいます。
ストレス発散には適度な運動が良いことが何となく分かりましたか?
激しい運動は逆にストレスとなる場合がありますので、普段からの運動習慣がない方は気をつけて下さい。
また、就寝する3時間前に行うと寝つきが良くなります。
運動をする事で身体が温まりますが、一度上がった体温が下がっていく時に眠気を感じます。
この時間に合わせるように就寝すれば、寝つきがよく睡眠の質も上がるため副交感神経を高めるのに効果的です。
ⅱ)歩く姿勢と歩き方は?
ウォーキングをされている方を見ていると勿体ないと思うことがあります。
それは『歩く姿勢と歩き方』です。
今から挙げるポイントを意識する事でウォーキングの効果を十分に引き出すことができます。
①姿勢
歩く姿勢は「背骨を真っすぐ」を意識しましょう。
歩くときに猫背姿勢で歩いてしまうと腕の振りが少なくなり、歩幅も狭くなってしまいます。
背骨が真っすぐ伸びた状態で歩くと、自然と腕の振りが出ます。
これは歩くときには足を左右交互に出す時に、反対側の腕が自然と出る事でバランスを取っているんです。
この腕の振りの利点は、腕と足を交差して使う事で骨盤と背骨にも連動して回転する運動が起こるので全身を使った運動ができます。
これが猫背姿勢ではどうなるでしょう?
背骨が丸くなってしまっている事で身体を捻る動作が止められてしまいます。
一度自分で試してみると分かりやすいです。
身体を真っすぐした状態で捻る動作と身体を丸めて捻る動作を比べてみると全然動き方が違うのが実感できます。
姿勢一つで骨盤や肋骨周りの動き方がこれだけ違います。
姿勢を良くして全身を上手に使って歩く方が身体の負担も軽減でき、全身の筋肉を適度に刺激することができるのです。
姿勢を良くしても腕の振りなどがあまり出ないようであれば、肩周りの筋肉が常に緊張している可能性があります。
その場合は、背骨をまっすぐして、肩から下の腕はダランと吊り下げるようなイメージで脱力する事を意識しましょう。
②歩き方
理想的な歩き方はしっかり膝を伸ばして踵から足を着き、しっかり股関節をひいて足の親指で蹴り出しをする一連の流れがスムーズに行えている事です。
この理想的な歩き方をするためのコツも実は姿勢にあります。
背骨が真っすぐ伸びていないと、この理想的な歩き方はできません。
猫背の姿勢では重心が後ろに移動してしまうため、バランスを取るために股関節と膝関節が曲がりやすくなってしまいます。
これでは脚を前に出した時に膝が伸びにくくなってしまい、その後の股関節を後ろに引きしっかり足の親指で地面をけり出す動作ができません。
結果的に歩幅が狭くなってしまい、しなやかな歩行ができなくなってしまいます。
ウォーキングでただ時間と歩数だけを気にして歩くのは、自律神経を整える効果としてはあまり期待できません。
正しい歩き方を意識すると身体の負担も少なくて済み、全身の筋肉もリラックスした状態となるのです。
自律神経を整え、バランスを取るためには日ごろからの運動習慣も大事だという事が分かりましたね。
最後におさらいしていきましょう。
まとめ
自律神経を整えるポイントはいかに副交感神経を高めるかが重要という事でした。
・副交感神経を高める運動はウォーキングやストレッチ、ヨガなどゆっくりとした運動が効果的。激しい運動は交感神経が高まり逆効果になることもあります。
・運動する時間帯は朝より夕方の方が良い。
・ウォーキングは30分程度で背骨を真っすぐ伸ばして歩く。
何度も言いますが、運動は習慣化が大事です。
運動不足を解消するための適度な運動を日常的に取り入れて習慣化しましょう。