自律神経と食事の関係性は深く、何を食べたかによって自律神経の調子も影響されます。
暴飲暴食したり、無茶な食事をした翌日なんかは身体の調子が悪いという経験をした人も多いと思います。
これは内臓系に負担がかかり過ぎたことによって自律神経のバランスが崩れる事で起こります。
自律神経を整える食べ物というのは、意外にも脂質を含んだ食べ物なんです。
脂質って聞くとなんか身体に悪いイメージないですか?
脂質も良い脂質を取れば身体に良いんです。
今回は自律神経を整える食べ物と乱す食べ物についてご紹介したいと思います。
自律神経と食事の関係
自律神経は内臓系の働きも調整していますので、食事と深い関係性にあります。
そのため何を食べるかによって、自律神経の調子にも影響します。
食事を摂取した後は内臓で消化と吸収が行われるのですが、これは副交感神経の働きになります。
食後に眠たくなることありますよね?
これは消化・吸収のために胃腸などの内臓系に血流が集まり、脳などの血流量が一時的に少なくなる事で起きていると言われています。
副交感神経により身体はリラックスした状態になり、脳の血流量も減っているのでお休みモードになっているのです。
食後に激しい運動や精神的なストレスを強く感じてしまうような事が起こると、交感神経が刺激されてしまい、その結果、自律神経のバランスが乱れ、胃腸の働きが悪くなってしまうので消化不良を起こしやすくなります。
もう一つ気をつけておきたいポイントがあります。
それは血糖です。
食事をすると血糖が上がりますが、これが急激に変化してしまうような食事は避けたい所です。
「炭水化物=糖」なのでパンや麺類、白米がそれに当たりますが、炭水化物よりも気をつけたいのが砂糖や人工甘味料です。
お菓子やジュース類なんかには砂糖や人工甘味料がほとんど含まれているので、気をつけたいところです。
砂糖や人工甘味料は急激な血糖値の上昇を引き起こし、その後に急下降させます。
血糖値が急激に変化してしまうと、急激に上がった糖を早く元の状態に戻そうと糖を下げるホルモン(インスリン)を大量に分泌するという反応が身体で起こるため、血糖値の急激な上昇の後は急下降が起こると言われています。
普段の食事が急激な血糖の変化を繰り返す食生活だと、それに対応するために自律神経が過剰に反応してしまうため自律神経が乱れやすいのです。
このような急激な血糖の変化が起こりにくいためにはどのような食事を心掛ければ良いのでしょうか?
自律神経を乱さない食事とは?
基本的にはバランスの良い食事を心掛けることになります。
バランス良くなんて言われても、「結局どうすれば?」と思う人も多いと思いますので、もう少し掘り下げてみてみましょう。
食事の栄養素は、「炭水化物」「脂質」「タンパク質」の3つに分けられます。
このうち「炭水化物=糖質」であり、先ほども説明したように血糖を急激に上昇させてしまいますので、あまり多く取り過ぎるのは避けたい所です。
「脂質」と聞くとあまり良いイメージがなく、何となく避けたくなりませんか?
実はこの「脂質」が一番血糖値の変動が少ないのです。
脂質を多く取ると脂肪がつきやすいと勘違いしている人が多いのですが、脂肪がつく原因も糖質の方なんです。
「脂質」と「脂肪」。字が似ているからそのように連想してしまうのでしょうね。
「タンパク質」はどうでしょうか?
タンパク質も血糖に与える影響は少ないです。
タンパク質は人の体を構成しているものの基本になるものなのです。
筋肉や髪の毛、爪などはタンパク質が作られる素になるのです。
タンパク質が不足してしまうと筋肉量が減ったり、肌や髪の毛の艶(つや)なども悪くなるので積極的にとった方が良いです。
少し答えが見えてきましたか?
「糖質」は極力抑えながら、「脂質」と「タンパク質」を積極的に取りたい所です。
自律神経を整える食べ物
「脂質」と「タンパク質」は積極的に取りたいところですが、具体的な食材としてはどんなものがあるのでしょうか。
「タンパク質」は肉や魚、大豆類など比較的思いつきやすいのですが、「脂質」となるとあまりイメージが沸きにくいのではないでしょうか?
脂質は肉や魚などの脂にも含まれていますし、揚げ物やスナック菓子に使用される油にも含まれています。
揚げ物やスナック菓子の油は良いイメージはないですよね?
脂質にも色々あり、質の良いものを取る必要があります。
脂質は各種の脂肪酸で構成されています。
この脂肪酸のバランスが大事です。
脂質は「飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)」と「不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)」に分けられます。
「飽和脂肪酸」は常温で固体という性質があり、お肉や乳製品に多く含まれます。
お肉はタンパク質を取ることでも必要ですし、乳製品もチーズやヨーグルトなど腸環境を整えてくれる効果がありますので適度に取りたい所です。
「不飽和脂肪酸」は常温で液体という性質があり、植物性油や魚介類、ナッツ類などから取る事が出来ます。
この不飽和脂肪酸も3つに分類(オメガ3系、オメガ6系、オメガ9系脂肪酸)されます。
オメガ3系 | アマニ油、えごま油、魚介類(特に青魚)、くるみ |
オメガ6系 | ごま油、コーン油、レバー、サザエ、あわびなど |
オメガ9系 | オリーブ油、キャノーラ油、アボカド、ナッツ類 |
必須脂肪酸って聞いたことないですか?
それがこの中のオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸にあたります。
この必須脂肪酸は体内で合成されないので、食事で取るしかないのです。
必須脂肪酸の理想的なバランスは、【オメガ3:オメガ6=1:1~4】なのですが、
現代の食生活ではこのバランスが崩れやすく、【オメガ3:オメガ6=1:15~30】くらいになるそうです。
オメガ6系は炎症性物質であるエイコノサイドに置き換えられ、オメガ3系は反対に抗炎症性の作用があります。
このバランスが崩れてオメガ6系が多くなりすぎてしまうと、体内に炎症性物質が多くなってしまい、心臓疾患や内臓系の疾患、アレルギーや慢性的な炎症疾患の原因になります。
必須脂肪酸のバランスを良くするため、オメガ3系が多く含まれる魚介類やえごま油、アマニ油などは積極的に取りましょう。
特に魚介類(特に青魚)から取る脂はEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった身体の血液や脳を構成する良質な脂質も一緒に取れるので魚介類は特におすすめです。
自律神経を乱す食べ物
自律神経を乱す食べ物は一般的に言われているものになります。
・添加物が多く含まれた加工食品
・インスタントラーメン
・菓子パン
・砂糖や人工甘味料が大量に含まれた物(ジュース類)
・スナック菓子
恐らくイメージ通りでしょう。
これらはやはり内臓で消化する際に大きな負担となります。
しかも栄養素としても乏しいため、身体の栄養補給にもなりません。
完全に食べないようにするのは難しいですが、意識して減らすようにしてあげると身体の不調を感じにくくなります。
さて、こうして自律神経を整える食べ物、乱す食べ物の観点で見ていくと何か気づきませんか?
自律神経を整える食事のポイント!
普段の食生活で溢れているのは自律神経を乱す食べ物たちが多いのです。
ここで食生活の重要なポイント。
自律神経を整えるには「足す」より「抜く」を意識した方が良いのです。
いかに「添加物」や「人工的な糖質」「粗悪な油」を抜いて、野菜や肉・魚など自然にある素材そのものを食べるかという所。
食事の基本もシンプルなんです。
自律神経を整えるための食事について書いてきましたが、最後にまとめましょう。
まとめ
・食事すると内臓を働かせるために副交感神経が高まる。
・血糖が急激に上がるような食事は避ける(炭水化物の取り過ぎに注意)
・必須脂肪酸にはオメガ3とオメガ6があり、オメガ3が不足しがち。
・オメガ6が多くなると炎症性物質が身体の中に溜まり、アレルギーや慢性炎症疾患などの症状が出やすくなる。
・オメガ3は魚介類やえごま油、アマニ油で取れる。
・「添加物」「人工甘味料」「粗悪な油」を抜いて、野菜や肉・魚など素材そのものを食べる。
食事は毎日の事です。
自律神経を乱さない食事を心掛けていくことで毎日の体調を万全にしていきましょう。