圧迫骨折は長期的に安静が必要な骨折です。

この圧迫骨折では無理に動いてしまうと骨が治るまでの期間が長くかかってしまう、もしくはきちんと治ってくれないという骨折であるため、療養期間中は色々な場面で注意が必要にもなってきます。

特に受傷直後は痛みが強いこともあり、生活に必要な動作を行うのも辛いという時期もあります。

入院を勧められることもあるでしょうが、何とか自宅で療養したいという人の方が多いです。

今回は、圧迫骨折を自宅療養する際の生活動作の注意点をまとめています。

圧迫骨折による生活への支障

圧迫骨折は背骨の骨折で、その治療にはきちんとした安静が必要です。

圧迫骨折や治療法について詳しく知りたい方は先にコチラを参照ください。
圧迫骨折とはどんな骨折?治療法と安静期間の過ごし方 (karada-reset.com)

安静と言っても手や足の骨折のようにはいかず、背骨は起きているだけでも自分の体重がかかってしまうので負担となってしまいます。

受傷から1カ月間は痛みが強い時期でもあり、あまり動けずトイレに行くのがやっとの人もいます。

要するに最初の約一カ月間は半分寝たきりのような生活になってしまうのです。

なので、生活動作全般に支障が出てしまい、身の回りのお世話(食事の準備や洗濯など家事・炊事仕事全般)をしてくれる支援者がいないと自宅での生活は難しいと思います。

仮に痛みがさほどなく割と動ける状態であっても、この時期に動き回ってしまうのは良くありません。

骨折している部分に負担がかかってしまい、骨の状態が良くなる時期が遅れるか、偽関節という骨がくっつかずに不安定な状態のままになってしまう可能性があるからです。

受傷後1カ月を超えたあたりから徐々に痛みが楽になり、だいぶ動けるようになりますが、ここから3カ月~半年くらいはまだ骨の状態が不安定で注意が必要な時期になります(時期には個人差があります)。

それらの事を考えると、圧迫骨折が普段の生活に支障をきたす範囲はかなり広範囲になり、自宅で療養するとなるとなおさら家族なんかの支援者が必要なんです。

圧迫骨折を受傷すると入院を勧められる場合もありますが、けっこう嫌がる人も多いです。

なんとか自宅で療養できないかと思われるのも分かりますが、自宅療養をする場合にはどのような事に気をつければよいのかを次の項で説明していきます。

自宅療養の注意点

先ほども言ったように、圧迫骨折による生活の支障はかなり広範囲に及びます。

自宅療養を選択した場合に主に注意して欲しい点が2つ「安静」と「前屈禁止」です。

安静に関しては前の項でも軽くお伝えしましたが、最初の一カ月(急性期)と骨の状態が安定するまでの期間(亜急性期~)との2つの期間に分けて考えます。

・急性期

最初の一カ月間は痛みが強い時期で骨の状態もかなり不安定な時期なので、極力ベッド上での安静が勧められます。

この時期は骨がかなりもろい時期なので、この時期に骨折部に負担をかけすぎるとさらに

つぶれて悪化するなんて事も起こり得ます。

ただ、一カ月間も寝たきりのような生活を送るのも、全身の筋力や体力面などの機能低下が起こってしまうので、それも良くありません。

一番難しいポイントはどこまで動いてよいのかの判断が難しい所でしょう。

これに関しては骨折の程度や受傷時の年齢などによっても変わってきますので一概にお伝えする事はできませんが、活動量の目安を書いておきます。

受傷後~2週:ベッド上で安静

この時期は痛みが強い事もあり、コルセットなどの骨折部を保護する物もなく無防備な状態になるため、極力寝て過ごし必要最低限の動作(食事やトイレ)だけにしておきましょう。

寝ている姿勢は仰向けか横向きで寝ていましょう。

1週~2週:

病院を受診し、圧迫骨折と診断されるとコルセットを作製しますが、そのコルセットが完成すると少し起きておく時間を作っていきましょう。

コルセットを装着している状態で、時々座って過ごす時間を取りましょう(一回あたり20分前後) 

まだ痛みが強い人もいますので、あまり無理をしないようにしておきましょう。

2週~4週:

徐々に痛みが楽になってくる時期になりますが、骨の状態はまだ不安定で無理すると骨折部がさらにつぶれてしまう可能性があります。

少しずつ痛みに応じて起きて過ごす時間を伸ばしていきましょう。

しかし、前かがみの動作や猫背になるような姿勢は注意です。

・亜急性期(4週~)

動作時の痛みがだいぶ落ち着いてくる時期になります。

このくらいの時期から少しずつ起きておく時間を延長したり、軽く散歩したり、リハビリ運動などを行ってもらう時期になります。

特に身体を前に倒す「前屈」という動作が骨折部に負担がかかる動作であり、この動作を極力行わないように生活しなければなりません。

前屈動作を行わないとなると、生活動作の様々な場面で制限が強いられてしまいます。

普段の生活動作ではどういった所に注意すべきかを次の項で詳しく説明していきます。

注意すべき生活動作の行い方

寝がえり

寝がえりの注意点は「身体を捻らない」という事です。

両側の肩甲骨と骨盤が捻れないように、イメージとしては頭からつま先まで一本の丸太のように転がりましょう。

起き上がり

起き上がりでは「腹筋を出来るだけ使わない」がポイントです。

腹筋を使ってしまうと、身体に曲がる力がかかってしまうので骨折部の負担は増加します。

仰向けからそのまま身体を起こすなんて動作はNGです。

まずは寝がえりの要領で横向きになり、出来るだけ腹筋を使わないように手の力を使います。

肘を押し付けるようにして身体を起こし、その後は手でベッドを押して身体を起こしましょう。

立ち上がり、着座

立ち上がりの注意点は、「身体を曲げない」です。

ヒトが立ち上がろうとする時に、必ず一度身体を前にかがめる動作があります。

スッと立つためには重心の中心をお尻から脚の方に移さないと立ち上がれないので、そのために身体が前にかがむわけです。

立ち上がり動作は、圧迫骨折で一番気をつけて欲しい動作になります。

前かがみをせずに立ち上がるためには、浅く腰掛けるようにお尻を座面の前側に移動させ、両手をお尻の横に置きます。

身体を直立に保つように気をつけながら、手でプッシュアップして立ち上がります。

高齢になるほど難しい動作になりますが、生活する上で一番回数が多く、圧迫骨折には負担がかかる動作になります。

座る時も気をつけるポイントは同じです。

身体を直立に保ったまま、手を先に座面につくようにしましょう。

そうする事で身体が前にかがむのを最小限に抑える事ができます。

食事

食事の注意点は「食器の配置」です。

食べる物は出来るだけ自分に寄せて配置しておきましょう。

遠くの物を取ろうとすると前かがみ動作になってしまいます。

食べる姿勢はもちろん直立で、猫背にならないようにしながら食べましょう。

トイレ動作

トイレ動作の注意点は便座への立ち座りはもちろんの事、お尻を拭くなどの清拭動作です。

まずは、[立ち上がり、着座]で説明したように気をつける事が大前提です。

大便の時にはお尻を拭く動作がありますが、この拭く動作で前かがみになってしまいやすいのです。

ウォシュレット機能がついているのであれば、積極的に使用して、拭く回数を減らしましょう。

なければ仕方ありません。

少し浅く腰掛けるようにして、前かがみにならないようにしながら後ろ側から手を伸ばしてお尻を拭くようにしましょう。

着替え

着替え動作の注意点は「脚を挙げる動作」です。

ズボンを履く時など、脚を通すために股関節から脚を挙げますよね?

この動作は股関節が曲がる動作ですが、身体を前かがみにする動作とほぼ同じような動きになっています。

股関節を曲げると骨盤は後ろに傾きます。

そうするとバランスを取るために体幹部分が前に曲がります。

この動作を繰り返すのは圧迫骨折には良くありません。

脚を挙げる動作を必要最小限にするためには、ズボンを通す方の足首を反対側の膝上に置いてから、ズボンを通すようにしましょう。

靴下を履く動作も同様にします。

入浴動作

入浴は唯一コルセットを外さなくてはできない生活動作になります。

コルセットを外している状態になるので、特に注意が必要です。

基本はシャワー浴で直立姿勢でのみ行いましょう。

同居家族などがいる場合は、家族に洗ってもらって自分は黙って立っておくくらいの方が良いでしょう。

家族などの支援者がいない場合は、入浴を諦めるのが最善策になります。

とはいっても、夏場ではそういうわけにもいかないでしょう。

その場合は、汗を流す程度のシャワーだけに留めておく方が圧迫骨折部への負担を考えると得策といえます。

整容動作(顔洗い、歯磨きなど)

顔洗いや歯磨きなどの動作にも前かがみ動作はあります。

顔を洗うのは濡れタオルで拭く事で済ませたり、歯磨きのうがいは別の受け皿を用意して、それに吐いてから洗面所へ流すようにする事で、前かがみ動作を行わなくて済みます。

生活を送る上で必要な生活動作の工夫の仕方について説明してきました。

圧迫骨折で自宅療養する場合は、参考にしてみて下さい。

まとめ

圧迫骨折では動作を行う際の痛みや骨折部の治癒過程での安静肢位などで生活に大きな支障が出てしまいます。

動き過ぎれば骨折部の治りが悪くなる可能性があり、安静期間が長くなれば体力や筋力などが弱ってしまい二次的に障害が出てしまいます。

目安としては受傷後2週間はベッド上での安静、その後4週間までの間で、少しずつ起きて過ごす時間を増やし、4週間以降は少しずつ運動を行っていくという流れです。

骨折部の骨の状態が落ち着くまでには3カ月以上がかかり、それまでの期間は基本的には前かがみの動作を極力控えるように注意しなければなりません。 日常生活動作では色んな動作で前かがみの動作がありますので、生活動作の工夫の仕方を参考にしながら行ってみて下さい。