ストレッチの効果的なやり方。「神経」の働きに注目!
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「ストレッチ」というと、どんな事がイメージですか?

ギューっと力いっぱい筋肉を引き伸ばすイメージですか?

それとも心地よい範囲でリラックスしながら伸ばしていくイメージですか?

ストレッチのやり方は今までも様々な方法が考案されてきました。

ストレッチを効果的に行うためには神経の特性をうまく利用するやり方があります。

今回はストレッチを効果的に行うコツについてお伝えします。

ストレッチの新常識

ストレッチをシンプルに捉えると筋肉が伸びれば良いと考えがちですが、実はストレッチはそんな単純な話ではないんです。

筋肉には始まり(起始)と終わり(停止)があり、その起始と停止を引き離すように動かせば、筋肉に伸張力が加わりストレッチになると考えられてきました。

物理的に考えると、筋肉の長さは伸びるわけですからストレッチは出来ていると言えます。

筋肉は伸び縮みをする事から、よく「ゴム」に例えられます。

実際に筋肉がゴムであれば、ストレッチの考え方も単純に引き伸ばすだけでよいのですが、筋肉には神経があり、筋肉を縮めている原因も神経にあると考えると話は少し変わってきます。

強い力で筋肉に伸張力をかけるとどんな反応をするのか考えてみましょう。

筋肉は強い力で引っ張られる力に対して、負けないように筋肉の収縮を反射的に起こしてしまいます。

これは防御反応といって筋線維が損傷しないように守るための反応なんです。

ストレッチも年々進化してきています。

ある書籍でストレッチのやり方の移り変わりを、1.0~3.0という形で紹介していたので簡単に説明します。

・ストレッチ1.0

昔のやり方であれば、無理矢理にでもギュギューっと押したりして筋肉を伸ばすストレッチがされていました。

このやり方は「ストレッチ1.0」と表現されたりします。

無理矢理引き伸ばすわけですから、強い痛みが生じたり筋線維を損傷させながらストレッチを行っていたわけです。

筋肉の線維を切りながらのストレッチであれば、人によっては大きな怪我に繋がるわけなので、徐々に無理矢理引き伸ばすストレッチはされなくなりました。

・ストレッチ2.0

無理ない範囲「痛気持ちよい」程度で止めるストレッチの方法が「ストレッチ2.0」と表現されます。

この考え方のストレッチは、現在も主流の考え方です。

ゆっくりと呼吸を整えながら息を吐きながらゆっくりと伸ばしていくやり方です。

無理に引き伸ばさないので、防御性収縮を引き起こさずに筋肉を伸ばす事が出来ます。

・ストレッチ3.0

冒頭で神経について少し触れましたが、この神経の作用をうまく使ったストレッチのやり方が新世代のストレッチと呼ばれています。

理学療法士やスポーツトレーナーなど、リハビリやスポーツの業界ではこの手法が使われる事が多いです。

神経系の特性をうまく利用したストレッチの方法になります。

少し専門的な話になりますが、頑張りましょう。

筋肉には主動作筋と拮抗筋とがあります。

肘を曲げる動作で考えると、肘を曲げる筋肉が主動作筋、肘を伸ばす筋肉が拮抗筋という事になります。

反対に肘を伸ばす動作で考えると、この筋肉の関係も反対になりますので肘を伸ばす筋肉が主動作筋で肘を曲げる筋肉が拮抗筋になります。

この主動作筋と拮抗筋の関係は「相反神経支配」によって制御されます。

相反神経支配とは、主動作筋が働く時にその動きを邪魔しないように、拮抗筋を緩めるように指令が出るという事。

脳から主動作筋に「動け!」という指令と一緒に拮抗筋に「緩め!」という指令が同時に出ているという事です。

この「緩め!」の指令をうまく使ったストレッチが3.0と呼ばれるストレッチ方法です。

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ストレッチを効果的に行うコツ

ストレッチを効果的に行うためには、先ほど紹介した「神経の働き」をうまく利用して行う事です。

先ほど紹介したのは「相反神経支配」でした。

ここでもう一つ神経の働きの特徴をお伝えします。

それは「ホールドリラックス」です。

このホールドリラックスは、筋肉を収縮させた後は弛緩しやすくなるというものです。

伸ばしたい筋肉があれば、その筋肉をギューっと収縮させた後にストレッチを行うと、いつもよりも伸びやすくなるという事です。

「相反神経支配」と「ホールドリラックス」

言葉は覚えなくても良いですが、「筋肉を動かす時は反対の筋肉は伸びやすい」のと「筋肉を収縮させた直後は筋肉が伸びやすい」という筋肉の特性は覚えておきましょう。

この2つの神経の特性を使う事がストレッチを効果的に行うコツになります。

コツを使ったストレッチ例

・ジャックナイフストレッチ

ジャックナイフストレッチとは太もも裏のハムストリングスという筋肉のストレッチ方法で効果が高いと有名な方法です。

(方法) 
①椅子に腰かけ、体を前に倒して胸と太ももをくっつけた状態とし、両手は両足首を持ちます。
②胸と太ももが離れないようにしながら、椅子から立ち上がり膝を伸ばします。
(お尻を上に突き出すようなイメージで行います)
③10秒程膝を伸ばし続けた後は一度座り休憩する。

これを10セット程繰り返すとハムストリングスが十分にストレッチされ、立位体前屈などの柔軟性が改善されます。

ハムストリングスは膝を曲げる筋肉です。

このストレッチでは、ハムストリングスを伸ばすために反対方向の運動である「膝を伸ばす運動」を行ってストレッチを行っています。

主に相反神経支配の特性を利用したストレッチ方法です。

・スリーパーストレッチ

五十肩による可動域制限や野球肩などの投球障害の時などに指導する事が多いストレッチ方法です。

このストレッチでは、肩の後ろ側の小円筋をストレッチしています。

(方法)*右側の小円筋のストレッチを例にします。

①右側を下に横向きに寝ます。
②右側の腕を前に出して、肘を曲げます。(90度近く前に)
③左側の手で右手首を持ち、脚側の方向に引き下げます。(この時右側の肩が頭側に挙がらないように注意しましょう)

これだけでもストレッチにはなるのですが、ここから「ホールドリラックス」を利用してみましょう。

④右側の手は頭側に倒すように力を入れ、左側の手は反対方向(脚側の方に)に力を入れ、お互いの力を拮抗させ、力を入れているが動かない状態にします。
⑤10秒程力を入れた後は一度力を抜いてしまい、左手で脚側の方に引き下げてストレッチをするという事を繰り返します。

筋肉を収縮させた後に力を抜くと、筋肉が伸びやすくなる特性を利用しているので、回数を行うごとに少しずつ伸びやすくなっていきます。

例に挙げたのはごく一部ですが、様々なストレッチに応用できます。

これらの神経系の特性を利用することで、ストレッチの効果が高まり柔軟な身体を作る事が出来ます。

まとめ

ストレッチは昔から行われている体操ですが、その方法は少しずつ進化しています。

近年では、神経系の特性をうまく利用することでストレッチの効果が高まる事が分かっています。

神経系の特性は「相反神経支配」と「ホールドリラックス」。

「伸ばしたい筋肉の反対側の筋肉を収縮させると伸びやすい」という事と「伸ばしたい筋肉の筋収縮を起こさせた後は伸びやすい」という事です。

ただ伸ばすだけじゃなく、筋肉を収縮させて脱力して伸ばすという手順で行うとストレッチがより効果的に行えます。

色々とチャレンジしてみましょう。

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